様々な社会問題をテーマに制作を続けるアーティスト、アルフレド・ジャー。現在開催中の「LOVE展:アートにみる愛のかたち」では、東日本大震災の被災地に赴いて撮影した写真を用いた新作インスタレーションを出展しています。連載"1分でわかる「LOVE展」"は、同じく出展中のジャーの代表作のひとつ《抱擁》を取り上げます。
アルフレド・ジャー
《抱擁》
1995年
ビデオ
1分
Courtesy: Kenji Taki Gallery, Tokyo
アルフレド・ジャーは建築と映画製作を学び、1982年からはニューヨークを拠点として活動しているチリ出身のアーティストです。様々な社会問題をテーマに、アートと報道の中間的視点に立った作品を制作しています。
本展出品作の《抱擁》(1995)は、代表作のひとつである《ルワンダ・プロジェクト》(1994-2010)からのものです。1994年にルワンダで起こったフツ族によるツチ族に対する大虐殺について現地で取材したジャーは、報道とは異なる視点で事件を見つめています。
虐殺収束直後の難民キャンプで肩を寄せ合う3人の少年の後ろ姿。彼らが目を向ける先に何があるのかは定かではありませんが、極限状態においてもなお、互いに触れ合い、慰め合うという人間の行為から、愛の本質が伝わってきます。
<関連リンク>
・六本木ヒルズ・森美術館10周年記念展
「LOVE展:アートにみる愛のかたち-シャガールから草間彌生、初音ミクまで」
2013年4月26日(金)-9月1日(日)
・1分でわかる「LOVE展」~アーティスト&作品紹介
(1)ジェフ・クーンズ《聖なるハート》
(2)ゴウハル・ダシュティ「今日の生活と戦争」シリーズ
(3)ナン・ゴールディン「性的依存のバラッド」シリーズ
(4)ジョン・エヴァレット・ミレイ《声を聞かせて!》
(5)フリーダ・カーロ《私の祖父母、両親そして私(家系図)》
(6)ジャン・シャオガン《血縁:大家族》
(7)草間彌生《愛が呼んでいる》
(8)シルパ・グプタ《わたしもあなたの空の下に生きている》
(9)初音ミク《初音ミク:繋がる愛》
(10)アルフレド・ジャー《抱擁》
(11)ロバート・インディアナ《ラブ》 & ギムホンソック《ラブ》
(12)ソフィ・カル《どうか元気で》
(13)シャガール、マグリッド、フランシス・ピカビアらが描いた恋人たち
(14)トレイシー・エミン《あなたを愛すると誓うわ》
(15)デヴィッド・ホックニー《両親》
(16)デミアン・ハースト《無題》