中国の現代絵画表現の重要なアーティストとして活躍を続けているジャン・シャオガン。その代表作「血縁」シリーズから3作品が、六本木ヒルズ・森美術館10周年記念展「LOVE展:アートにみる愛のかたち」で公開中です。1分でわかる「LOVE展」第6回では、その中から《血縁:大家族》をご紹介します。
ジャン・シャオガン
《血縁:大家族》
1997年
油彩、カンヴァス
85.3×100cm
沖縄県立博物館・美術館蔵
ジャン・シャオガンは、1980年代から動きが高まったチャイニーズ・アヴァンギャルドを牽引する現代美術アーティストで、この世代の多くの中国人アーティストと同様に、文化大革命(1966-1976)の波に翻弄されたひとりです。
実家で偶然見つけた古い家族写真に強いインスピレーションを受けたジャンは、代表作となる「血縁」シリーズを描きはじめます。伝統的な肖像画のスタイルで真正面を向く家族は、幼子も含めてみな一様に表情がなく、そこには不穏な気配が漂います。彼らを結ぶ赤い線は、運命の赤い糸のイメージとともに、逃れがたい因縁を表すかのようです。
国家を「巨大な家族のようなもの」ととらえるジャンは、ノスタルジックな家族の肖像に文革の闇のイメージを重ね、複雑に絡み合った個人と集団の歴史を表現するのです。
<関連リンク>
・六本木ヒルズ・森美術館10周年記念展
「LOVE展:アートにみる愛のかたち-シャガールから草間彌生、初音ミクまで」
2013年4月26日(金)-9月1日(日)
・1分でわかる「LOVE展」~アーティスト&作品紹介
(1)ジェフ・クーンズ《聖なるハート》
(2)ゴウハル・ダシュティ「今日の生活と戦争」シリーズ
(3)ナン・ゴールディン「性的依存のバラッド」シリーズ
(4)ジョン・エヴァレット・ミレイ《声を聞かせて!》
(5)フリーダ・カーロ《私の祖父母、両親そして私(家系図)》
(6)ジャン・シャオガン《血縁:大家族》
(7)草間彌生《愛が呼んでいる》
(8)シルパ・グプタ《わたしもあなたの空の下に生きている》
(9)初音ミク《初音ミク:繋がる愛》
(10)アルフレド・ジャー《抱擁》
(11)ロバート・インディアナ《ラブ》 & ギムホンソック《ラブ》
(12)ソフィ・カル《どうか元気で》
(13)シャガール、マグリッド、フランシス・ピカビアらが描いた恋人たち
(14)トレイシー・エミン《あなたを愛すると誓うわ》
(15)デヴィッド・ホックニー《両親》
(16)デミアン・ハースト《無題》