ヴァーチャルな歌姫・初音ミク。近未来的コスチュームに身を包んだ16歳の少女というキャラクター設定が与えられ、その魅力的な声で世界中をとりこにしています。「LOVE展:アートにみる愛のかたち」のセクション5「広がる愛」に出展されている《初音ミク:繋がる愛》では、この初音ミクを介して拡がる愛の現象を可視化しました。
《初音ミク:繋がる愛》 展示風景
2013年
インスタレーション(3チャンネル・ビデオ、タブレットコンピュータ)
制作:クリプトン・フューチャー・メディア、森美術館
制作協力:タラ・ナイト、SEGA / MAGES、MIKUNOPOLIS. 2011 実行委員会、「ピアプロ」ユーザーの皆様
機材協力:ソニーマーケティング株式会社
助成:公益財団法人アサヒグループ芸術文化財団
撮影:木奥恵三
初音ミクは、歌声を合成するソフトウェアとして2007年夏にクリプトン・フューチャー・メディアより発売されたボーカロイド(ボーカル・アンドロイド)。発売と同時に多数の音楽クリエイターが初音ミクの声を用いて曲を制作し、多数のイラストレーターや映像クリエイターが初音ミクをモチーフとしたイラストや動画を制作しました。現在ではインターネット上を中心に初音ミクの20万曲にのぼるオリジナル楽曲や、数百万点におよぶイラスト・CG映像が発表され、その人気は世界レベルでの広がりを見せています。
このように、クリエイターとファンは初音ミクを通じてつながり合い、ミクに対する愛着が形成されていきます。この愛のかたちこそが、生身のアイドルに対するファンの一方的な愛とは一線を画す所以だといえます。初音ミクは、単なるソフトウェアを超え、無数の人々の関心と愛、さらに創作によって進化・発展していく新しいアイドル現象そのものなのです。
本展出展作《初音ミク:繋がる愛》では、「MIKUMENTARY(ミクメンタリー)」*1や「ピアプロ」*2に見られる無数のミク像とクリエイターたちの初音ミクへの愛、あるいは初音ミクを介して生まれたネットワーク状に拡がる新しい絆の可視化を試みています。
*1 カリフォルニア大学サンディエゴ校准教授、タラ・ナイト監督の短編ドキュメンタリー・プロジェクトとして、随時オンライン上で公開: http://mikumentary.com
*2 クリプトン・フューチャー・メディアは、クリエイターが創った作品を自ら投稿しコラボレーションができる場として2007年12月にコンテンツ投稿サイト「ピアプロ」(piapro.jp)を開設した。
<関連リンク>
・六本木ヒルズ・森美術館10周年記念展
「LOVE展:アートにみる愛のかたち-シャガールから草間彌生、初音ミクまで」
2013年4月26日(金)-9月1日(日)
・1分でわかる「LOVE展」~アーティスト&作品紹介
(1)ジェフ・クーンズ《聖なるハート》
(2)ゴウハル・ダシュティ「今日の生活と戦争」シリーズ
(3)ナン・ゴールディン「性的依存のバラッド」シリーズ
(4)ジョン・エヴァレット・ミレイ《声を聞かせて!》
(5)フリーダ・カーロ《私の祖父母、両親そして私(家系図)》
(6)ジャン・シャオガン《血縁:大家族》
(7)草間彌生《愛が呼んでいる》
(8)シルパ・グプタ《わたしもあなたの空の下に生きている》
(9)初音ミク《初音ミク:繋がる愛》
(10)アルフレド・ジャー《抱擁》
(11)ロバート・インディアナ《ラブ》 & ギムホンソック《ラブ》
(12)ソフィ・カル《どうか元気で》
(13)シャガール、マグリッド、フランシス・ピカビアらが描いた恋人たち
(14)トレイシー・エミン《あなたを愛すると誓うわ》
(15)デヴィッド・ホックニー《両親》
(16)デミアン・ハースト《無題》