2013年5月29日(水)

フリーダ・カーロ《私の祖父母、両親そして私(家系図)》
1分でわかる「LOVE展」~アーティスト&作品紹介(5)

1分でわかる「LOVE展」連載第5回でご紹介するのは、メキシコが誇る画家フリーダ・カーロです。六本木ヒルズ・森美術館10周年記念展「LOVE展:アートにみる愛のかたち」では、「愛」をテーマに世界各国から選りすぐりの作品約200点を展示しています。本展出品作の《私の祖父母、両親そして私(家系図)》は、本邦初公開となるカーロの代表作のひとつです。


フリーダ・カーロ
《私の祖父母、両親そして私(家系図)》
1936年
油彩、テンペラ、ジンク板
30.7×34.5cm
ニューヨーク近代美術館蔵
Gift of Allan Roos, M.D., and B. Mathieu Roos. Acc. n.:277.1987.a-c.
© 2012. Digital image, The Museum of Modern Art, New York/Scala, Florence

フリーダ・カーロが生涯にわたり制作した約200点の作品は、そのほとんどが自画像であり、波瀾万丈な彼女の人生における困難への克服が投影されています。その夢想的な作風は、シュルレアリストであるアンドレ・ブルトンにも高く評価されました。

本展出品作《私の祖父母、両親そして私(家系図)》(1936)では、メキシコ出身の母方の祖父母がサボテンの生える大地の上に配され、ドイツ生まれのユダヤ人である父方の祖父母の姿が海の上に浮かび、父の起源が異国であることを象徴的に表しています。そして、カーロ自身は母親の子宮内の胎児と、中央にいる子供として描かれました。

メキシコの伝統的な民族衣装を好んで着用し、メキシコ文化を讃えたカーロですが、本作では父方のルーツであるヨーロッパにも思いを寄せています。当時ヨーロッパで台頭したナチスの状況を敏感に感じ取っていたカーロが、ナチスの政策に反発するかのように、家系図をモチーフとして扱い、自身の起源を描き出した作品です。
 

<関連リンク>

六本木ヒルズ・森美術館10周年記念展
「LOVE展:アートにみる愛のかたち-シャガールから草間彌生、初音ミクまで」

2013年4月26日(金)-9月1日(日)

・1分でわかる「LOVE展」~アーティスト&作品紹介
(1)ジェフ・クーンズ《聖なるハート》
(2)ゴウハル・ダシュティ「今日の生活と戦争」シリーズ
(3)ナン・ゴールディン「性的依存のバラッド」シリーズ
(4)ジョン・エヴァレット・ミレイ《声を聞かせて!》
(5)フリーダ・カーロ《私の祖父母、両親そして私(家系図)》
(6)ジャン・シャオガン《血縁:大家族》
(7)草間彌生《愛が呼んでいる》
(8)シルパ・グプタ《わたしもあなたの空の下に生きている》
(9)初音ミク《初音ミク:繋がる愛》
(10)アルフレド・ジャー《抱擁》
(11)ロバート・インディアナ《ラブ》 & ギムホンソック《ラブ》
(12)ソフィ・カル《どうか元気で》
(13)シャガール、マグリッド、フランシス・ピカビアらが描いた恋人たち
(14)トレイシー・エミン《あなたを愛すると誓うわ》
(15)デヴィッド・ホックニー《両親》
(16)デミアン・ハースト《無題》

カテゴリー:01.MAMオピニオン
森美術館公式ブログは、森美術館公式ウェブサイトの利用条件に準じます。