今回の"1分でわかる「LOVE展」"は、ソフィ・カルの《どうか元気で》を取り上げます。「LOVE展:アートにみる愛のかたち」の「セクション3:愛を失うとき」に展示されている本作は、愛の喪失による痛みを他者と共有するという、カル独特の手法が見られる作品です。
ソフィ・カルはフランスを代表するコンセプチュアル・アーティスト。プライベートな出来事に、他者を巻き込むことで、現実とフィクションが混在した物語が紡ぎ出されます。そのプロセスでは人間の深層心理や想像力が他者と共有されます。
第52回ヴェネチア・ビエンナーレのフランス館で発表された本作は、カルが恋人から届いた別れのメールを、様々な職種や技能をもった女性107人に送り、その解釈や分析を返信してもらったプロジェクト。本展では、広告代理店役員、タルムード聖書解釈者、哲学者、グラフィック・デザイナー、作曲家、占い師、精神分析家、キュレーター、会計士などに文楽人形やオウムを加えた22の視点が展示されています。失恋の痛みが他者の解釈によって別のものに生まれ変わり、アートへと昇華されていくのがわかります。
<関連リンク>
・六本木ヒルズ・森美術館10周年記念展
「LOVE展:アートにみる愛のかたち-シャガールから草間彌生、初音ミクまで」
2013年4月26日(金)-9月1日(日)
・1分でわかる「LOVE展」~アーティスト&作品紹介
(1)ジェフ・クーンズ《聖なるハート》
(2)ゴウハル・ダシュティ「今日の生活と戦争」シリーズ
(3)ナン・ゴールディン「性的依存のバラッド」シリーズ
(4)ジョン・エヴァレット・ミレイ《声を聞かせて!》
(5)フリーダ・カーロ《私の祖父母、両親そして私(家系図)》
(6)ジャン・シャオガン《血縁:大家族》
(7)草間彌生《愛が呼んでいる》
(8)シルパ・グプタ《わたしもあなたの空の下に生きている》
(9)初音ミク《初音ミク:繋がる愛》
(10)アルフレド・ジャー《抱擁》
(11)ロバート・インディアナ《ラブ》 & ギムホンソック《ラブ》
(12)ソフィ・カル《どうか元気で》
(13)シャガール、マグリッド、フランシス・ピカビアらが描いた恋人たち
(14)トレイシー・エミン《あなたを愛すると誓うわ》
(15)デヴィッド・ホックニー《両親》
(16)デミアン・ハースト《無題》