"1分でわかる「LOVE展」"連載第15回で紹介するのは、イギリスを代表するアーティスト、デヴィッド・ホックニーです。ホックニーが愛した古典作品が彼の両親とともに描かれている《両親》が今回出展されています。
デヴィッド・ホックニーは、絵画のみならず、写真、オペラの舞台美術、iPhoneやiPadを使用してのドローイングなど、多岐にわたる作品を意欲的に制作しつづける、世界で最も知られるイギリスのアーティストのひとりです。
本展出品作の《両親》(1977)では、読書に夢中な父親と、静かな佇まいでこちらを見ている母親が、写実的に描かれています。1963年以降、アクリル絵具を用いて色鮮やかで平面的な作品を多く制作していたホックニーですが、1970年代初頭には、古典作品を想起させる表現へと移行しました。本作でも人物の緻密な描写、均衡のとれた構図などからその傾向を見て取ることができます。
作中には、シャルダンの本や、ピエロ・デラ・フランチェスカの《キリストの洗礼》など、当時ホックニーが興味を抱いていた古典作品が随所に登場しています。愛する作品とともに描かれた両親の姿に、作家の想いを見ることができます。
<関連リンク>
・六本木ヒルズ・森美術館10周年記念展
「LOVE展:アートにみる愛のかたち-シャガールから草間彌生、初音ミクまで」
2013年4月26日(金)-9月1日(日)
・1分でわかる「LOVE展」~アーティスト&作品紹介
(1)ジェフ・クーンズ《聖なるハート》
(2)ゴウハル・ダシュティ「今日の生活と戦争」シリーズ
(3)ナン・ゴールディン「性的依存のバラッド」シリーズ
(4)ジョン・エヴァレット・ミレイ《声を聞かせて!》
(5)フリーダ・カーロ《私の祖父母、両親そして私(家系図)》
(6)ジャン・シャオガン《血縁:大家族》
(7)草間彌生《愛が呼んでいる》
(8)シルパ・グプタ《わたしもあなたの空の下に生きている》
(9)初音ミク《初音ミク:繋がる愛》
(10)アルフレド・ジャー《抱擁》
(11)ロバート・インディアナ《ラブ》 & ギムホンソック《ラブ》
(12)ソフィ・カル《どうか元気で》
(13)シャガール、マグリッド、フランシス・ピカビアらが描いた恋人たち
(14)トレイシー・エミン《あなたを愛すると誓うわ》
(15)デヴィッド・ホックニー《両親》
(16)デミアン・ハースト《無題》