100プロジェクト、展示総数400点を超える圧巻のスケール
古くは縄文時代の住居から、現在進行中のものや未来の計画案を含む最新の現代建築まで100プロジェクトを、総数400点を超える展示資料で紹介します。
千利休作の茶室、国宝《待庵》を原寸で再現
千利休の作と伝えられ、現存する茶室建築としては日本最古の国宝《待庵》(京都府・妙喜庵)は、「わび」の思想を空間化したもので、日本文化を語る上で欠くことのできない建築の一つです。本展では、原寸スケールで再現し、二畳の茶席やにじり口(出入口)でよく知られる極小空間を体感していただけます。
丹下健三の自邸を1/3スケールで再現した巨大模型
広島平和記念公園(1954年)、東京オリンピック(1964年)、大阪万博(1970年)など、戦後の国家的プロジェクトを牽引した建築家・丹下健三。「美しいもののみ機能的である」と唱えた丹下が、桂離宮など日本の古建築を再解釈し、建築の新たな創造の可能性を拓いた《自邸》(現存せず)を巨大模型で再現します。また、当時の様子が伺える写真をARで鑑賞することができます。
ライゾマティクス・アーキテクチャーが最新技術で再現する日本建築のスケールを3Dで体感
ライゾマティクスを率いる世界が注目するクリエイティブ・アーティスト齋藤精一は、コロンビア大学建築学科で学び、建築で培ったロジカルな思考と知見をもとに創作するメディアアートで知られています。本展では、最新技術のレーザーファイバーと映像を駆使し、日本建築の空間概念を大小さまざまなスケールで原寸再現し、そのダイナミズムを3Dで体感する体験型インスタレーションの新作を発表します。
日本建築史における学術的にも貴重な資料を展示
大工棟梁に代々受け継がれ、江戸時代に広く普及した秘伝書、明治初期に制作された擬洋風建築の模型、大正~昭和初期に日本の古建築研究のために制作された学術模型、明治後期にドイツで発刊されモダニズム建築の発展に広く貢献したフランク・ロイド・ライトの作品集、戦前にシャルロット・ペリアンが東北の農民の生活改善のために、藁でデザインした寝椅子など、建築史を複層的に考察できる資料を一挙公開します。
モダニズムの名作家具で構成されたブックラウンジ
剣持勇や長大作など戦後のモダニズム建築を彩ってきたデザイナーによる名作家具は、美術館に収蔵されているものも多く、通常、展覧会で展示されても手に触れることはできません。本展では、今なお現役で使用されているこれらのオリジナルの家具を集め、実際に座ることができるラウンジを展示室内に設えます。展覧会をより深く知ることができる書籍を閲覧しながらお過ごしいただけます。
国際的に活躍する日本人建築家の最新のプロジェクトを紹介
伊東豊雄の《台中国立歌劇院》(2016年)、SANAAの《荘銀タクト鶴岡》(2017年)、坂茂の《静岡県富士山世界遺産センター》(2017年)、杉本博司の《江之浦測侯所》(2017年)など近年竣工したプロジェクトに加え、石上純也の《House & Restaurant》や、岡啓輔の《蟻鱒鳶ル(ありますとんびる)》など現在進行中のプロジェクトを紹介。さらにはティンバライズの木造超高層の計画案など未来の建築をも考察します。
さまざまな鑑賞者に配慮した展示デザインで鑑賞方法を自由に選択
新たな試みとして、森美術館と若手建築家の川勝真一、工藤桃子、元木大輔、グラフィックデザイナーの橋詰宗と飯田将平との協働により、従来とは異なる、鑑賞者の建築への興味や関心、知識や専門性の度合いに配慮した画期的な展示デザインを実現。展示室の5.5メートルの壁を3段階のエリアに分割し、高さ3メートル以上の上部(遠景エリア)に大型の映像、写真、言葉など専門知識がなくても楽しめる概要を、高さ1~3メートルの中部(中景エリア)に展示の核となる資料を、高さ1メートル以下の下部(近景エリア)は解説等の詳細情報を掲出しています。鑑賞者は自分の興味や関心にあわせて、情報を自由に選択し、鑑賞することができます。