映画監督としても国際的に活躍するアーティスト、アピチャッポン・ウィーラセタクン(1970年タイ・バンコク生まれ)と、近年活躍が目覚ましい久門剛史(1981年京都生まれ)のコラボレーションにより制作された、新作映像インスタレーション《シンクロニシティ》を紹介します。
本作は、アピチャッポンが南米のコロンビアを舞台に製作している新作映画《メモリア》(2019年公開予定)に関連した作品で、深層心理学や脳神経学を参照しながら、個人の記憶と、社会や国家などの集合的な記憶の対比を題材としています。久門がタイのチェンマイにあるアピチャッポンのスタジオに滞在し、脚本の構想段階からアイデアを共有するなどして共同制作をしてきました。2 人のアーティストが互いに影響し合いながら、対話的なプロセスから生まれた実験的な本作は、鑑賞者の想像力を掻き立てる刺激的なものとなることでしょう。
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アピチャッポン・ウィーラセタクン+久門剛史
《シンクロニシティ》
2018年
インスタレーション
展示風景:「MAMプロジェクト025:アピチャッポン・ウィーラセタクン+久門剛史」森美術館、2018年
撮影:来田 猛
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コロンビアでのリサーチ写真、2017年
Courtesy: Kick the Machine Films
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コロンビアでのリサーチ写真、2017年
Courtesy: Kick the Machine Films
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《シンクロニシティ》制作風景、2018年
Courtesy: Kick the Machine Films
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《シンクロニシティ》制作風景、2018年
Courtesy: Kick the Machine Films
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《シンクロニシティ》制作風景、2018年
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《シンクロニシティ》制作風景、2018年
アピチャッポン・ウィーラセタクン
1970年タイ・バンコクに生まれ、タイ東北部イサーン地方コーンケンで育つ。チェンマイ在住。タイを代表する映画監督でありアーティストでもある。長編映画『ブンミおじさんの森』で2010年カンヌ国際映画祭最高賞(パルムドール)受賞。森美術館では、アーティストのチャイ・シリと協働で制作した作品で「サンシャワー:東南アジアの現代美術展 1980 年代から現在まで」(2017年)に出展している。
久門剛史
1981年京都生まれ、在住。身の回りの様々な現象や歴史的事象を調査し、それらを人工的に作り出す音や光、風などを用いて、劇場的空間に再現するインスタレーションや立体作品などを発表している。近年の主な展覧会に、個展「MoCA Pavilion Special Project Tsuyoshi Hisakado」(上海当代芸術館、2016年)、あいちトリエンナーレ2016がある。2016年には世界各国で上演されたチェルフィッチュ『部屋に流れる時間の旅』の舞台美術を担当するなど活躍の場を広げている。