宮島達男
宮島は「それは変化し続ける」「それはあらゆるものと関係を結ぶ」「それは永遠に続く」というコンセプトに基づき、1980年代半ばからLEDを用いて1から9までの数字が変化するデジタルカウンターを使ったインスタレーションや立体作品を中心に制作を行っています。0(ゼロ)は表示されずLEDは暗転しますが、これは死を意味し、生と死が繰り返されることが表現されています。時間という普遍的な概念を扱いつつも仏教的思想やテクノロジーという要素を融合させ、国際的評価を得ています。一方で、広島や長崎の悲劇を主題にしたプロジェクトも手掛け、2017年からは、東日本大震災犠牲者の鎮魂と震災の記憶の継承を願い、最終的に3,000個のLEDカウンターを東北地方に恒久設置することを目指す「時の海―東北」を継続的に制作するなど、社会的な参加型プロジェクトにも力を入れています。宮島は1988年第43回ベネチア・ビエンナーレの若手作家部門「アペルト88」で《Sea of Time》(1988年)を展示し国際的な注目を集め、その後、香川県直島の「家プロジェクト」で《Sea of Time ’98》(1998年)を発表しましたが、「時の海―東北」はこれを発展させたものです。
本展では、この「時の海―東北」で現在までに制作されたデジタルカウンターをすべて集めた最新作が、一般参加者がカウンターの速度を設定する様子などが収められた記録映像とともに公開されます。また、理論上30万年以上の時を刻むことができる《30万年の時計》(1987年)と、一元論・二元論という名がつけられた《Monism/Dualism》(1989年)という、宮島の海外デビュー前後の作品も展示されます。
宮島達男アーカイブ
アーカイブ展示のセクションでは、主要な展覧会歴、カタログ、展示風景写真、展覧会評などの資料を展示し、アーティストが世界でどのように評価されてきたかを解き明かします。 会場には年表を掲示していますが、カタログバージョンを特別にPDFで公開します。
年表PDFはこちらよりダウンロードできます。(PDF/376KB)
プロフィール
1957年、東京都生まれ、茨城県在住。「それは変化し続ける」「それはあらゆるものと関係を結ぶ」「それは永遠に続く」というコンセプトに基づき、数字が変化するデジタルカウンターを使ったインスタレーションや立体作品を中心に制作を行う。1988年第43回ベネチア・ビエンナーレの若手作家部門「アペルト88」で《時の海》を展示し国際的な注目を集め、1997年ヘイワード・ギャラリー(ロンドン)での個展をはじめ世界各地で個展を開催する。1999年第48回ベネチア・ビエンナーレでは日本館代表に選ばれる。作品では時間という普遍的な概念を扱いつつも仏教的思想やテクノロジーという要素を融合させ、国際的評価を得ている。近年では北京UCCA、上海民生美術館などでも個展が開催されている。一方で、1996年には、長崎で被爆した柿の木を源とする苗木を世界各地に植樹する「時の蘇生・柿の木プロジェクト」を始動し、2017年からは、東日本大震災犠牲者の鎮魂と震災の記憶の継承を願い、「時の海―東北」を継続的に制作するなど、社会的な参加型プロジェクトにも力を入れている。