本プログラムでは、ムニーラ・アル・ソルフ(1978年レバノン、ベイルート生まれ)の、初期の代表作から2019年に発表された最新作までをご紹介します。アル・ソルフは、映像、インスタレーション、写真など、多様なメディアで作品を制作します。2006年からアムステルダムのライクスアカデミーのレジデンス・プログラムに参加し、その後は母国のレバノンとヨーロッパの両方を拠点に、国際的に活動しています。
アル・ソルフは、政治や宗教が対立し難民問題が発生する現代社会での、日常の出来事や小さな物語、女性ならではエピソードなどを、ユーモアを込めて描きます。作風はドキュメンタリーの形式を用いますが、あえてフィクションやファンタジーを織り交ぜることもあり、「独白」や「語り」という手法を多用します。作家自身や友人・知人の日常に起きる事象が各個人の視点で語られ、それらの物語は淡々として他愛もないように聞こえます。しかし、背景に読み込めるさまざまな現実の断片を通じ、私たちは社会の不均衡や矛盾について考えることになるのです。時に、極私的なエピソードは広い世界を考える入り口となるのではないでしょうか。
上映作品
1 《ラワーンの歌》 2006年 7分19秒
2 《まるで私がそこにふさわしくないかのように》 2006年 12分8秒
3 《さあ私の台本を食べて》 2014年 24分45秒
4 《自由とは私が学ぼうとしている習慣》(ロジーン、ハニンの部を抜粋) 2019年 21分10秒
全体約70分で、以下の時間より上映を開始いたします。
10:00、11:30、13:00、14:30、16:00、17:30、19:00、20:30(祝日を除く火曜日は17:00閉館です)
《ラワーンの歌》と《まるで私がそこにふさわしくないかのように》はこちらのページでも解説しています:
https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/mamdigital/02/#mams013
ムニーラ・アル・ソルフ
1978年レバノン、ベイルート生まれ。近年に参加した主な展覧会に、クンストヴェルケ現代美術センター(ベルリン、2014年)、ALTアートセンター(トルコ、イスタンブール、2016年)、アート・インスティテュート・シカゴ(2018年)での個展、2012ニューミュージアム・トリエンナーレ(ニューヨーク)、第56回ベネチア・ビエンナーレ(2015年)やドクメンタ14(ドイツ、カッセル、2017年)などがある。