多くが日本初公開!初期の作品から新作までを網羅的に紹介
本展は、1995年に制作された初期の作品から新作までを網羅的に紹介することで、エルリッヒの24年にわたる活動の全容に迫る世界でも過去最大規模の個展です。出展作品約40点のうち、その8割が日本初公開作品で構成されるため、今まで見たことのない、エルリッヒ作品の新たな魅力に出会うことができます。
「現代アートっていいね!」を実感、誰もが楽しめる展覧会
不思議と驚きに溢れ、好奇心を刺激するエルリッヒの作品は、観客自らが参加し体験することで初めて完成されます。さらに建物や教室、地下鉄、エレベーターなど日常の中のありふれたものが作品のモチーフとなっているため親しみやすく、現代アートに馴染みがなくても、大人から子どもまで誰もが気軽に楽しむことができるでしょう。
写真撮影が可能!“インスタ映え” する大規模で建築的なインスタレーション作品
エルリッヒの作品の中でも特に人気がある「建物」シリーズが、本展にも登場します。これは、観客が床に置かれた建物のファサード(壁面)に寝転がって思い思いのポーズをとると、鏡の効果で、まるで重力に逆らったようなアクロバティックな体勢で、壁や窓枠にしがみついているかのような光景が生まれる、大規模な体験型インスタレーション作品です。作品の一部になった自分自身の不思議な姿を、写真に撮って楽しむこともできます。
世界が違って見えてくる!新たな見方を与えてくれる作品群
見慣れた風景に僅かでも認識の“ずれ”が生じると、人は突如として違和感を覚えます。エルリッヒの作品は、私たちが当たり前のこととして疑いもせずに受け止めている現実の中に、不思議で奇妙な空間を提示することで、私たちに「現実」とは何かを再考する機会を与えます。展覧会を通して、習慣や既成概念がいかに私たちの認識に影響を与えているかに気付くことで、鑑賞後の世界も今までとは違って見えることでしょう。
作品の背後に込められた、社会的メッセージと批評性
老若男女、誰もが楽しめるエルリッヒの作品ですが、その背景には社会的メッセージが込められています。《シンボルの民主化》は、ブエノスアイレスの街の中心にそびえるオベリスクをテーマにしていますが、権力の象徴である建造物を一般市民に開放したプロジェクトとして話題になりました。また、本展のための新作《教室》は、廃墟化した教室に自分の姿が亡霊のように映り込む作品で、日本が抱える少子化や過疎化などの問題を示唆し、観客にその未来像を考えさせます。