「レアンドロ・エルリッヒ展」作品紹介#5《美容院》&《建物》
2018.3.13(火)
《美容院》
鏡と椅子が整然と並んだ美容院を再現したインスタレーションですが、自分の姿が映る鏡とそうでないものがあります。さらに、鏡像が映らない鏡には、いないはずの人がこちらを眺めたり、歩いていたりします。実は鏡と思っていたものの向こうがわには別の現実空間が広がっているのです。
エルリッヒは「鏡と対面すると自分の顔が見えるに違いない」という私たちの思い込みを利用し、本作のような鏡とただの枠で区切られた空洞を混在させた作品をしばしば制作しています。「瀬戸内国際芸術祭2010」で発表された《二重の茶室》がその一例です。
《建物》
人々が重力に逆らって、各々の好きなポーズで建物のファサードにぶら下がったり、立ったりしている様子を楽しめる参加型の大型インスタレーション。床面に設置されたファサードに対して、約45度の傾きで大きな鏡面が設置されており、人々はそのファサードの上で、鏡を見ながら思い思いのポーズをとり楽しむのです。こうした作品は、「建物のファサードは地面に垂直に建っているはずだ」という私たちの既成概念を利用しています。作品に参加している観客を、別の人々が作品の一部として鑑賞できるという意味では、パフォーマンスの要素も含む参加型作品といえるでしょう。
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