「フレンチ・ウィンドウ展」の出展アーティストに4つの質問を行い、マルセル・デュシャンやコレクターの存在について聞いた連載もいよいよ最終回に。「フレンチ・ウィンドウ展」では、ねずみと虫をモチーフにした不気味かつどこかキッチュな絵画を展示しているフィリップ・マヨーからの回答をお届けします。
彼に言わせれば、現在のマルセル・デュシャンは宇宙物理学者や神経生物学者だそう。
Photo: Jennifer Westjohn
■Profile
1961年ルベ生まれ。モントルイユで活動中。近年の主な個展に、2007年「無限の死」ポンピドゥ・センター 国立近代美術館(個展、パリ)、2009年「アートの力」グラン・パレ(パリ)、2010年「セカンド・ハンド」パリ市立近代美術館などがある。
A.マルセル・デュシャンは20世紀のレオナルド・ダ・ヴィンチです。
A.私にとってマルセル・デュシャン賞は、私の作品のように一風変わった作品にも、自由に表現され誰かの目に触れる場があることを示すものです。芸術にとって有意義な賞だと思います。
A.コレクターのおかげで私の生活が成り立っているという点において、コレクターは私の作品に影響を与えています。私は、マルセル・デュシャンにとってのアレンスバーグ夫妻のような、専門家である幾人かのコレクターのために作品を制作しているとも言えます。
A.現代のマルセル・デュシャンといえば、間違いなく宇宙物理学者や神経生物学者だと思います。芸術家ではなく。今日、アートは現実にあまりに密着しているため、現代の芸術家がデュシャンの作品が彼の時代に起こしたような破壊的な影響力を持つ作品を創造することは不可能だと思います。
■「フレンチ・ウィンドウ展」に出展した主な作品
《大きすぎる》
2007年
個人蔵
Photo: Fabrice Gousset
Courtesy: Galerie Loevenbruck, Paris
<関連リンク>
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File05. クロード・クロスキー
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File07. フィリップ・マヨー
・「フレンチ・ウィンドウ展:デュシャン賞にみるフランス現代美術の最前線」
・森美術館flickr(フリッカー)
展示風景「フレンチ・ウィンドウ展:デュシャン賞にみるフランス現代美術の最前線」
展示風景「フレンチ・ウィンドウ展:デュシャン賞にみるフランス現代美術の最前線」(2)