本展に出展しているアーティストは、フランスで最も権威ある現代美術コレクター団体「ADIAF」が主催する「マルセル・デュシャン賞」の受賞者と最終選考作家です。彼らのアーティストライフに、マルセル・デュシャンやコレクターの存在はどのような影響を及ぼしたのか?を探るべく、4つの質問を投げかけました。第1回は、デュシャンの《フレッシュ・ウィドウ》に着想を得た作品を出展しているマチュー・メルシエからの回答をご紹介します。
Photo: Jennifer Westjohn
■Profile
1970年コンフラン=サントノリーヌ生まれ。パリで活躍中。近年の主な個展に、2003年「マルセル・デュシャン賞受賞展」ポンピドゥー・センター 国立近代美術館(パリ)、2007年「無題1993-2007」パリ市立近代美術館、2008年「無題 1993-2007」クンストハーレ・ニュルンベルグなどがある。
A.独立していて、それだけで機能しているモデルのような存在だと言えます。
A.賞金すべてを、デュシャンを含むアート作品の収集に費やしました。受賞によって、私の活動自体は変わりませんでしたが、明らかに知名度は上がりましたね。現在もデュシャンの作品に深く関わっており、≪ヴァリーズ≫のエディション数が多く手頃な価格バージョンの制作に携わっています。
A.コレクターが私の生活と制作を手助けしてくれていることは明らかな事実ですが、コレクションをするということも、クリエイティブな行為に成り得ます。
私は、いつも誰かのコレクションを発見することに喜びを感じます。なぜならコレクションを知ることが、所有者であるコレクターの目的を理解する最適の方法だからです。
A.デュシャンはおそらく今も、私たちをもて遊んでいるのでしょう。
■「フレンチ・ウィンドウ展」に出展した主な作品
《Untitled》
2007
Courtesy: Galerie Lange + Pult, Zurich and the Artist
Photo: Watanabe Osamu
Photo Courtesy: Mori Art Museum
©ADAGP, Paris & SPDA, Tokyo, 2011
<関連リンク>
・「フレンチ・ウィンドウ展:デュシャン賞にみるフランス現代美術の最前線」
・森美術館flickr(フリッカー)
展示風景「フレンチ・ウィンドウ展:デュシャン賞にみるフランス現代美術の最前線」
展示風景「フレンチ・ウィンドウ展:デュシャン賞にみるフランス現代美術の最前線」(2)