「カタストロフと美術のちから展」の作品リストはこちらよりダウンロードできます。(PDF/221KB)
セクションⅠ:美術は惨事をどのように描くのか―記録、再現、想像
セクションⅠでは、地震、津波などの天災や事故や戦争といった人災から、個人的な悲劇を表現した作品までを幅広く紹介しながら、「美術が惨事をどのように描いてきたのか」に焦点を当てます。惨事を扱った作品と一言で言ってもその手法はさまざまで、写実、フィクション、極端な抽象化など多岐に渡ります。また、2008年の世界金融危機を引き起こした現代のグローバル化したバーチャルな資本や、福島の原子力発電所事故などに見られる放射能汚染など、目に見えない脅威を可視化する作品も含まれます。惨事を美やユーモアを混じえて表現することができる美術の特性に触れながら、作家が惨状や恐怖をどのように記録・再現し、他者と共有して未来に語り継ごうとしているのかについて考察します。
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《プレイタイム》
2014年
3チャンネル・ハイビジョンビデオ・インスタレーション、5.1サラウンドサウンド
64分12秒
Courtesy: Victoria Miro, London
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《痕#7二本松城》
2012年
ゼラチン・シルバー・プリント
50.8 x 60 cm
アマナコレクション(東京)
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《KOBE 1995 After the Earthquake―神戸市長田区》
1995年
ゼラチン・シルバー・プリント
51 x 61 cm
所蔵:森美術館(東京)
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左:《自分の人生つかみきれない!》 右:《絶望的》
「誰かがあなたに言わせたがっていることじゃなくて、あなたが彼らに言わせてみたいことのサイン」シリーズより
1992–1993年
Cプリント、アルミニウム板
各44.5 x 29.7 cm
Courtesy: Maureen Paley, London
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《Abschlag》
2014年
ミクスト・メディア・スカルプチャー
サイズ可変
展示風景:「マニフェスタ10」エルミタージュ美術館、一般職員棟(サンクトペテルブルグ)2014年
Courtesy: Manifesta Foundation, Amsterdam
※参考図版
セクションⅡ:破壊からの創造―美術のちから
セクションⅡでは、破壊から創造を生みだす「美術のちから」を紹介します。大惨事や悲劇は私たちを絶望へと突き落としますが、その一方で惨状が作家の作品制作の契機となることも事実でしょう。アーティストの豊かなイマジネーションによって制作された、再生、復興、より良い社会が表現された作品は、私たちに理想の未来について考える想像力を与えます。
美術は、医学と異なり大惨事に対しての即効薬にはならないかもしれませんが、代わりに社会に対する長期的な治療薬となりえるのではないでしょうか。希望のメッセージを伝達するものや、抑圧に対する団結のためのツールとして機能するもの、チャリティとして経済的な貢献をするもの、傷ついた心を癒すものなど、美術にはさまざまな力があります。このような美術が持つ、負を正に転ずる「ちから」に注目し、その可能性を問いかけます。
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《誕生》
2013-2016年
ペン、アクリル・インク、透明水彩、紙、板にマウント
300 x 400 cm
所蔵:佐賀県立美術館
デジタルアーカイブ:凸版印刷株式会社
Courtesy: Mizuma Art Gallery, Tokyo / Singapore
※11月28日から展示予定
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《メデイア》
2017年
ミクスト・メディア・インスタレーション
サイズ可変
展示風景:「キャニオン:1999-2017」シンシナティ現代美術センター 2017-2018年
撮影:トッド・シーリー
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《時の海 - 東北(2017 石巻)》
2017年
防水LED、電線、集積回路、水
910 x 1,270 cm
作家蔵
展示風景:「リボーンアート・フェスティバル」(宮城)2017年
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《アートプロジェクト in 宮城》
2013年
デジタルプリント、壁紙
120 x 160 cm