展覧会

六本木ヒルズ・森美術館15周年記念展 カタストロフと美術のちから展

先行き不透明な混沌とした時代に、アートだからできること

2018.10.6(土)~ 2019.1.20(日)

開館15周年に、あらためて問う「美術のちから」

森美術館はこれまで、周年の記念展において、全人類にとって普遍的なテーマを掲げてきました。2003年の開館記念展では「幸福」をテーマにした「ハピネス」展を、10周年を迎えた2013年には「愛」に注目した「LOVE展」を開催しています。15周年を迎える2018年、あえて「カタストロフ(大惨事)」をテーマに取り上げ、さまざまな問題が山積する今日の国際社会において、美術が果たす役割についてあらためて問い直します。

美術を通して社会と繋がり、変革を目指す作品を紹介

現代美術の1つの特徴に、「社会をより良くする可能性」があります。なかでも、アーティストが社会に介入し、彼らの作品や活動を通して社会に変革をもたらすことを目指す「ソーシャリー・エンゲイジド・アート(SEA)」は、近年日本でも注目を集めています。本展では、オノ・ヨーコや宮島達男による鑑賞者参加型の作品や、社会的メッセージが込められた美術作品の良作を多数紹介し、美術と社会との繋がりについて考察します。

東日本大震災を「風化させない」
震災の記憶を伝える作品を多数紹介

2011年に発生した東日本大震災は、日本社会を大きく変えてしまっただけでなく、日本の現代美術界にも大きな影響を与えました。震災から7年が経過した今日、いまだ復興が思うように進んでいない地域もあり、一方で、私たちの震災体験や記憶は風化しつつある現状があります。本展では、この震災を契機に制作されたChim↑Pom、トーマス・デマンド、池田学など約10作家の作品を紹介することで人々の記憶を蘇らせ、議論を再燃させることを目指します。

現代美術のスーパースターから注目の若手作家、日本初公開の作家まで
40組の作品を展示

現代美術界で最も権威ある祭典、ベネチア・ビエンナーレやドクメンタに参加経験を持つトーマス・ヒルシュホーン、モナ・ハトゥム、アイザック・ジュリアン、畠山直哉、宮本隆司といったベテラン作家から、ストリート・アート界のスターであるスウーン、加藤翼や平川恒太など気鋭の若手まで、国内外を問わず幅広い層の作家が参加。さらには、ヒワ・Kやヘルムット・スタラーツなど、日本初公開となる作家も紹介します。

展覧会に先行して「プレ・ディスカション・シリーズ」を展開

惨事と現代美術の関係を考察するには、実際の事例や経験、言説を含めて考えることが不可欠であると考え、展覧会開催前に「プレ・ディスカッション・シリーズ」と題したトーク・イベントを5回にわたり実施。それぞれ「大惨事におけるアートの可能性」、「写真や映像で惨事を表現すること:記録、芸術性、モラル」、「阪神・淡路大震災から20余年:体験とその継承」、「フクシマ2011-2018」、「アートかアクティヴィズムか?」をテーマにした議論がおこなわれました。外部の有識者、専門家、当事者、アーティストなどを招聘しておこなわれたこれらの議論は、展覧会の一部として会場で紹介されるだけでなく、図録にも掲載されます。また、会期中の12月5日には、国際シンポジウムの開催も予定しています。

※これまでのイベントのレポートはこちらからご覧ください。

加藤 翼《The Lighthouses - 11.3 PROJECT》2011年
加藤 翼
《The Lighthouses - 11.3 PROJECT》
2011年
プロジェクトの記録写真
撮影:宮島 径
Courtesy:無人島プロダクション
基本情報
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