「コレクター心をくすぐられた作品がいくつもあった」と語る西高辻信宏氏。日本を代表する現代美術コレクターが出合ったフランスの現代アートコレクション。『HILLSLIFE』48号で特集した西高辻氏の「フレンチ・ウィンドウ展」案内は、前回の第2回から続いて、いよいよ完結します!
『HILLSLIFE』とは
森美術館のある六本木ヒルズや表参道ヒルズのストリートの話題からトレンド情報など、楽しい情報満載のエリアマガジンです。
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クロード・クロスキー《フラット・ワールド》 2009年
Cortesy: Galerie Laurent Godin, Apris and Galerie Mehdi Chouakri, Berlin
撮影:渡邉 修
自由に手に取って見られる希少な作品。「裏表に何気なくプリントされた航空写真、実はそれぞれ地球の反対側に位置する地点を撮ったものだそうです。タイトル通り、丸い地球を1枚のフラットなものにしてしまったのですね」(西高辻)
フィリップ・ラメット《「ゆがんだ鏡」》 2002年
Courtesy: Galerie Xippas
©ADAGP, Paris & SPDA, Tokyo, 2011
「鏡というありふれた道具を使って、簡単に世界をゆがませることができることを証明してくれますね」。(西高辻)想像力に富んだ光景を合成写真によって実現した作品群も展開している。
ヴァレリー・ベラン《無題、シリーズ<モデルII>より》 2006年
Courtesy: Galerie Jerome de Noirmont, Paris
©ADAGP,Paris&SPDA,Tokyo,2011
「生身のモデルか、はたまた蝋人形なのか。本物や現実とはいったい何なのかを問い直したくなる写真作品です」(西高辻)
ピエール・アルドゥバン《エレファントマン》 2008年
Courtesy: Galerie Chez Valentin, Paris
©ADAGP, Paris & SPDA, Tokyo, 2011
ローラン・グラッソ《レトロ・プロジェクション》 2009年
個人蔵 Courtesy: Galerie Chez Valentin, Paris
©ADAGP, Paris & SPDA, Tokyo, 2011
ローラン・グラッソ《テスラ・アンテナ》 2009年
個人蔵 Courtesy: Galerie Chez Valentin, Paris
©ADAGP, Paris & SPDA, Tokyo, 2011 撮影:渡邉 修
「はっと眼を惹く色や形で楽しませてくれる作品ぞろいですね。同時に、つくり手の主張がはっきり盛り込まれていますから、それらを読み取っていく面白さも味わえる。さらには、美術の歴史をきちんと踏まえていることが見え隠れしていて、これがフランス美術の伝統の底力なのかと感じ入ります。予備知識がなくても没入することができて、また、詳しく知っていればそれだけ深い読み取りもできる。幅広い方々に受け入れられやすい展示なのではないでしょうか。
コレクター心をくすぐられた作品、ですか? そうですね、いくつもありましたよ。長く興味を持っていられる作品が好きなので、"この作品なら、ずっと付き合っていけるかな......"などと、いろいろ勝手な想像をしてしまいました」(西高辻)
~HILLS LIFE 48号より~
西高辻信宏
1980年生まれ。太宰府天満宮権宮司
学生時代からアートコレクションを始める。
2006年より『太宰府天満宮アートプログラム』を開催、現代アート作品の展示をしている。
<関連リンク>
・アートコレクター西高辻信宏さんのフレンチ・ウィンドウ展、ご案内します。
第1回 ~デュシャンは、フランス現代アートの出発点第2回 ~森美術館ならではの展示です
第3回 ~フランス現代アート、伝統の底力
・「フレンチ・ウィンドウ展:デュシャン賞にみるフランス現代美術の最前線」
会期:2011年3月26日(土)~8月28日(日)
・森美術館flickr(フリッカー)
展示風景「フレンチ・ウィンドウ展:デュシャン賞にみるフランス現代美術の最前線」
展示風景「フレンチ・ウィンドウ展:デュシャン賞にみるフランス現代美術の最前線」(2)