「レアンドロ・エルリッヒ展」作品紹介#2《教室》&《眺め》
2018.2.20(火)
《教室》
日本の少子化や地方の過疎化を背景に、廃校となり廃墟化した学校の教室が舞台となっています。手前の部屋に入った観客の姿はガラスに映り込み、奥の部屋の中に亡霊のように現れます。私たちは、廃墟化した教室の中にまるで過去の亡霊のように映り込み、その状況を楽しみつつも、自分の幼少時代という過去や記憶、現実の日本が抱える様々な社会問題によって提起される未来像と向き合うことになるのです。
エルリッヒは、本作のようにガラスで仕切られた2つの部屋に、実像と虚像を混在させる視覚的な仕掛けを使ったインスタレーションをしばしば制作しています。本作は同様の仕組みによる本展のための新作です。
《眺め》
ブエノスアイレスの中流階級のさまざまな生活風景がうかがえます。隣のマンションの住人たちのさまざまな日常生活が窓越しに眺められるという、覗き趣味的な、現代の都市生活であり得そうな体験を再現する作品です。子供を寝かしつけるのに苦労する母親、夕食中に喧嘩をする夫婦、ヌードモデルを描く画家など、私たちはこれらのシーンのいずれかには共感を覚えることになります。都会で暮らす人々は、誰もが、見るだけではなく見られる対象となってしまう可能性がある、ということも示唆されています。
また、本作は元々1997年に制作されましたが、エルリッヒにとっての初のビデオ・インスタレーションとなりました。
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