展覧会

藤本壮介の建築:原初・未来・森

2025.7.2(水)~ 11.9(日)

本展のタイトルについて

北海道・旭川の隣町である自然豊かな東神楽町で育った藤本にとって、北海道の雑木林は原風景です。同様に、東京のような巨大都市の、入り組んだ路地や雑多なものが併存するありようにも、「乱雑さの中にゆるやかな秩序がある」と森の要素を見出しています。小さい枝や葉などによって構成される森も、路地に存在する植木鉢や自転車、看板など小さなものも、ともに「ヒューマンスケール」です。そして森も都市も複層的であり、また、命が生まれ循環する場でもあります。森は人類誕生以前からの原初的な存在ですが、この「森」という概念は藤本の創造における核の1つであり、活動初期から現在まで、さまざまな形で具現化されています。そして藤本はこの概念が未来の建築や社会のモデルとなると考えるのです。本展の副題「原初・未来・森」には、そんな藤本の想いが込められています。

《深圳博物館新館(深圳改革開放展覧館)》
藤本壮介
《深圳博物館新館(深圳改革開放展覧館)》
2027年竣工予定
中国、深圳
© Sou Fujimoto Architects & Donghua Chen Studio
《深圳博物館新館(深圳改革開放展覧館)》
藤本壮介
《深圳博物館新館(深圳改革開放展覧館)》
2027年竣工予定
中国、深圳
© Sou Fujimoto Architects & Donghua Chen Studio
《明治公園整備・管理運営事業》
藤本壮介
《明治公園整備・管理運営事業》
2026年竣工予定
福岡
《明治公園整備・管理運営事業》
藤本壮介
《明治公園整備・管理運営事業》
2026年竣工予定
福岡

本展のみどころ

初の大規模個展。四半世紀にわたる主要プロジェクトを紹介

無名の新人建築家だった藤本は、2000年の《青森県立美術館設計競技案》で建築家・伊東豊雄などから高い評価を受け2位に選出され、一躍建築界の注目を集めます。その後、「書物の森」をコンセプトに渦巻き状に書架が並ぶ《武蔵野美術大学美術館・図書館》、白色のスチール・パイプを立体格子状に組み合わせたパビリオン《サーペンタイン・ギャラリー・パビリオン2013》、樹木から葉が広がるように大きなバルコニーが多数配置された集合住宅《ラルブル・ブラン(白い樹)》、公園の中の緑に溶け込み自然と建築物との境界を曖昧にする音楽複合施設《ハンガリー音楽の家》などのプロジェクトを次々と手掛けてきました。現在も、「2025年大阪・関西万博」、《国際センター駅北地区複合施設(仮称、仙台)》(2031年竣工予定、宮城)、ヨーロッパでの複合都市計画など、多数のプロジェクトが進行しています。本展では、活動初期から世界各地で現在進行中のプロジェクトまで、四半世紀の活動の歩みを網羅的に紹介します。

《武蔵野美術大学美術館・図書館》
藤本壮介
《武蔵野美術大学美術館・図書館》
2010年
東京
撮影:DAICI ANO
《武蔵野美術大学美術館・図書館》
藤本壮介
《武蔵野美術大学美術館・図書館》
2010年
東京
撮影:DAICI ANO
《サーペンタイン・ギャラリー・パビリオン
2013》
藤本壮介
《サーペンタイン・ギャラリー・パビリオン 2013》
2013年
ロンドン
撮影:イワン・バーン
《サーペンタイン・ギャラリー・パビリオン
2013》
藤本壮介
《サーペンタイン・ギャラリー・パビリオン 2013》
2013年
ロンドン
撮影:イワン・バーン

従来の建築展の在り方を刷新。現代美術館での建築展の可能性を探求

本展では、これまでの建築展で中心となっていた模型や設計図面、竣工写真だけでなく、藤本が設計した空間を体感できる大型模型、思考の過程を実験的に表現するプロトタイプや、藤本の創作の源である「森」をコンセプトにした新作の大型インスタレーション、映像を投影することで人の動きを可視化する模型、藤本の建築作品が演劇のように対話を行う設定の作品なども展示します。藤本の世界観をより視覚的・聴覚的に体感できる、現代美術館ならではの建築展のあり方を探求します。

「2025年大阪・関西万博」大屋根リングを展示室内の各所で紹介

藤本が会場デザインプロデューサーを務める「2025年大阪・関西万博」の象徴ともいえる、「大屋根リング」のプロジェクトを紹介します。5分の1部分模型や外観写真、構想から竣工までの関連資料のほか、大型インスタレーション《模型の森》に含まれる模型など、展示室内の各所でさまざまな角度からリングのコンセプトに迫ります。

「2025年大阪・関西万博」
藤本壮介
「2025年大阪・関西万博」
2025年竣工予定
© Sou Fujimoto Architects, © TOHATA ARCHITECTS & ENGINEERS
「2025年大阪・関西万博」
藤本壮介
「2025年大阪・関西万博」
2025年竣工予定
© Sou Fujimoto Architects, © TOHATA ARCHITECTS & ENGINEERS

他のクリエーターや研究者とコラボレーション

《白井屋ホテル》(2020年、群馬)では、自身のプロジェクト内に設置する新作を現代美術作家やデザイナーに依頼し、「2025年大阪・関西万博」でも若手建築家にトイレや休憩場などの設計を依頼するなど、これまで藤本はさまざまなクリエーターと協働を行ってきました。本展でも、倉方俊輔(建築史家、大阪公立大学教授)、幅允孝(ブックディレクター、有限会社バッハ代表)、宮田裕章(データサイエンティスト、慶應義塾大学教授)などとのコラボレーションを行います。

「2025年大阪・関西万博」
藤本壮介
《白井屋ホテル》
2020年
群馬
撮影:田中克昌
「2025年大阪・関西万博」
藤本壮介
《白井屋ホテル》
2020年
群馬
撮影:田中克昌
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