「MAMプロジェクト023」は、シドニーを中心に国際的に活躍するアーティスト、アガサ・ゴス=スネイプ(1980年シドニー生まれ、在住)を紹介します。ゴス=スネイプは、即興的なパフォーマンスを中心に、パワーポイントを使用したスライドショー、参加型のワークショップ、テキスト、視覚的なスコア(譜面、指示書)など、様々な手法を用いて作品を発表しています。日本初の個展となる本展では、森美術館のモットーである「アート&ライフ」から着想を得たインスタレーションと、そこから発展した一連のパフォーマンスで構成される、新作《オー・ウィンドウ》を発表します。
ゴス=スネイプは、作品名にある「ウィンドウ」(窓)を、美術館の内側にある「アート」と美術館の外側にある「ライフ」の二つの領域をつなぐ場所として捉え、実際には窓のない展示空間にいくつもの仮想的な「窓」を作り出しています。アーティストと美術館スタッフとの会話や、六本木ヒルズの中で彼女が発見したモノ、コトをモチーフとし、グラフィックや映像などから成り立つこれらの「窓」を覗くと、モノやコトの本来の役割や機能とは異なる、「アート」の文脈で捉えた新たな景色が立ち現われてくるでしょう。
会期中に行われるパフォーマンスは、美術館の中だけでなく六本木ヒルズ全体を舞台に展開されます。インスタレーションとパフォーマンスが呼応し合うことで、「窓」は少しずつその領域を広げていきます。
さらに今回のプロジェクトでゴス=スネイプは、他のアーティストとさまざまなコラボレーションを展開します。ギャラリー内に展示される映像作品の多くは、映像を中心にインスタレーションやパフォーマンス作品を制作する津田道子との協働によって制作されました。また、4月から5月にかけてゴス=スネイプが東京に長期滞在し実施する一連のパフォーマンスでも、他のアーティストとのコラボレーションが行われます。
アガサ・ゴス= スネイプ
1980年シドニー生まれ、在住。2011年シドニー大学視覚芸術学部修士課程修了。近年の主な個展に「あいまいなメディウム」ザ・コマーシャル・ギャラリー、シドニー、「修辞学的コーラス(LW)」パフォーマ15、ニューヨーク(2015年)、「フリー・スピーキング」ガートルード・コンテンポラリー、メルボルン(2014年)、「テイキング・フォーム」ニューサウスウェールズ州立美術館、シドニー(2013年)など。主な国際展に第20回シドニー・ビエンナーレ(2016年)、第8回ベルリン・ビエンナーレ(2014年)などがある。