日本を含むアジアの現代美術に焦点をあてた森美術館のコレクションは、現在、400点近くを数えます。「MAMコレクション」は、このコレクションを順次、多様なテーマに沿って紹介するシリーズです。ダイナミックな眺望とリビングルームのような空間で現代アートを楽しむ、美術館のモットー、「アート&ライフ」を体現したプログラムです。
米田知子(1965年兵庫県生まれ、ロンドン在住)
シルパ・グプタ(1976年ムンバイ生まれ、在住)
イー・イラン(1971年サバ、マレーシア生まれ、クアラルンプール在住)
「MAMコレクション004」は、米田知子、シルパ・グプタ、イー・イランの3名のアーティストの作品を紹介します。本展で展示する作品は全て、実際には体験したことのない史実や伝説に作家のイマジネーションを挿入することで再現し、作品化したものです。
米田知子の写真シリーズ「見えるものと見えないもののあいだ」は、歴史上の可視・不可視の関係を主題としています。そのうちの一つ、《フロイトの眼鏡-ユングのテキストを見るⅡ》(1998年)は、ジークムント・フロイトが生前に使用していた眼鏡を通して、自身の弟子でありながら後に決別したカール・ユングのテキストを写した作品です。フロイトがどのような気持でその文書を読んだのかと、観る者の想像力を掻き立てます。
シルパ・グプタの《運命と密会の約束―1947年8月14日、ジャワハルラール・ネルー(1889-1964)による憲法議会演説》(2007-2008年)は、インドの初代首相ジャワハルラール・ネルーが独立前夜に行った有名な演説を、作家自身が口ずさんだサウンド・インスタレーションです。演説に使われるはずのマイクはスピーカーとなり、厳粛な演説はノスタルジックな歌となって聞こえてきます。
イー・イランの「スールー諸島の物語」(2005年)は、フィリピン領スールー諸島にまつわる伝説や物語などを想像して描いた写真シリーズです。マレーシアとインドネシアに隣接するスールー諸島は、15~19世紀にはスールー王国として独立していましたが、現在では反政府勢力やテロ組織の拠点となり外部からの渡航が制限されています。作家もその地の中心部へは立ち入ることができず、周辺の海上から撮影した写真に、リサーチにもとづいてさまざまなイメージを重ね合わせることで、シリーズを完成させました。
作家の主観によって再現され、ドキュメンタリーとは別のアプローチで描かれた過去や伝説は、私たちの心に静かに何かを訴えかけてくることでしょう。
会期: | 2017年2月4日(土)-6月11日(日) |
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会場: | 森美術館 |
主催: | 森美術館 |
企画: | 近藤健一(森美術館キュレーター) |
開館時間: | 10:00-22:00(火曜日のみ、17:00まで) |
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※入館は閉館時間の30分前まで ※会期中無休 |
入館料: | 一般1,800円、学生(高校・大学生)1,200円、子供(4歳ー中学生)600円、シニア(65歳以上)1,500円 ※表示料金に消費税込 ※「N・S・ハルシャ展」、「MAMスクリーン005」展、「MAMプロジェクト023」展と共通 ※本展のチケットで展望台 東京シティビューにも入館可(屋上 スカイデッキを除く) ※森アーツセンターギャラリーへの入館は別料金になります。 ※屋上 スカイデッキへは、別途追加料金がかかります。 |
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お問い合わせ: Tel: 03-5777-8600(ハローダイヤル) |
「MAMコレクション004:未知の物語を想像する」では、下記の条件の範囲内で作品の写真撮影が可能です。
<写真撮影に際して>
作品に触れないでください。 | ||
他の鑑賞者の鑑賞を妨げるような撮影はご遠慮ください。 | ||
フラッシュの使用はご遠慮ください。 | ||
三脚や自撮り棒の使用はご遠慮ください。 | ||
動画撮影は禁止です。 |
<撮影された写真の利用に関して>
表記例:
作家名/作品名:米田知子 《フロイトの眼鏡—ユングのテキストを見るⅡ》
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* クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの詳細や表示については、クリエイティブ・コモンズ・ジャパンのウェブサイトをご参照ください。
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