出展作家
会田 誠、ユェン・グァンミン(袁廣鳴)、ジョウ・ティエハイ(周鉄海)
米国大統領ドナルド・トランプの口癖にもなっている「フェイクニュース」。インターネット上に流れるデマをはじめ、今日、何が事実なのかますます見えにくくなっています。本展では、3人の作家の作品を通じて、マスメディアにおける情報生産の本質について考察します。
ジョウ・ティエハイ(周鉄海)の「フェイクカバー」シリーズ(1995-1997年)では、『ニューズウィーク』など国際的に影響力のある雑誌の表紙に自身の顔写真や作品を登場させ、マスメディアが有名人を作り上げる力に着目します。会田誠の映像作品《The video of a man calling himself Japan’s Prime Minister making a speech at an international assembly》(2014年)では、作家本人が総理大臣に扮し、鎖国の重要さなど独自の外交論を日本語訛りの英語で演説します。この演説が「フェイク」であることは明白ですが、グローバル化が進む現代社会に対する風刺でもあります。ユェン・グァンミン(袁廣鳴)の《占領第561時間目》(2014年)は、台湾の学生や市民が立法院を占拠した2014年のひまわり学生運動の一場面を記録した映像作品です。貴重な記録という側面を持ちつつも、カメラワークによる迫力あるシーンは私たちを惹きつけ、スペクタクルとしての映像が作られる仕組みをも示唆します。