参加するアートで話題の「リー・ミンウェイとその関係展」。ブログ連載第6回はリーに関係するアーティスト、「もの派」の中心的なメンバー李禹煥、「ハプニング」を提唱したことで知られるアラン・カプロー、「リレーショナル・アート」が注目されたリクリット・ティラヴァニを御紹介いたします。
李禹煥(1936年~)
《線より》
1976年
岩絵具、キャンバス
100 × 80 cm
所蔵:東京オペラシティ アートギャラリー
60年代の日本における彫刻の新しい動向「もの派」の中心的なメンバーのひとりとして、その理論化に貢献しました。物理的に存在するモノから、それを取り巻くバイブレーションや不可視のエネルギーに意識を向ける姿勢は、絵画からインスタレーションまで通底しています。初期の絵画「点より」「線より」のシリーズでは、有から無への繰り返しを通して無限の世界を探求しています。
アラン・カプロー(1927~2006年)
1950年代末、全く新しいアートのかたちとして観客が空間的な体験やインストラクションにもとづいた行為を行う「ハプニング」を提唱したことで知られています。なかでも「ハプニング」の類型のひとつとして展開した「アクティビティ」は、日常生活で無意識に行っている儀式のような行為を意識的に行わせるもので、しばしば観客のいないプライベートな環境が選ばれました。カプローの「アクティビティ」に見られる一対一の親密さは、リーの実践を理解するうえでも重要な鍵をにぎっています。
リクリット・ティラヴァニ(1961年~)
《無題1992(フリー)》
1992年
ミクストメディア
サイズ可変
Courtesy: GALLERY SIDE 2, Tokyo
アートシーンがグローバルに拡がった1990年代、人間の相互関係やその社会的文脈といった領域からアートを見直す「リレーショナル・アート」が注目され、その新しい動向を象徴するアーティストとして国際的に注目されてきました。なかでもギャラリーや美術館でタイカレーを振る舞うプロジェクトでは、日常が美術の枠組みに持ち込まれ、そこで生まれる会話や関係性が彼のアート作品となっています。
<関連リンク>
・「リー・ミンウェイとその関係展」作品紹介
(1)関係性、つながり、あいだについて考える
(2)歩く、食べる、眠る―日々の営みを再考する
(3)パーソナルな記憶から歴史、文化、社会のつながりを考える
(4)「参照作品」を読み解く:白隠/今北洪川/鈴木大拙
(5)「参照作品」を読み解く:久松真一/イヴ・クライン/ジョン・ケージ
(6)「参照作品」を読み解く:李禹煥/アラン・カプロー/リクリット・ティラヴァニ
(7)「参照作品」を読み解く:小沢 剛/田中功起
・スペシャル対談:リー・ミンウェイ×片岡真実
(1)“参加するアート”とは?
(2)「ギフト」を贈ることもアートになる
(3)観客が参加することで、さらに豊かになるアート
・「リー・ミンウェイとその関係展:
参加するアート―見る、話す、贈る、書く、食べる、そして世界とつながる」
会期:2014年9月20日(土)-2015年1月4日(日)
・「MAMプロジェクト022:ヤコブ・キルケゴール」
会期:2014年9月20日(土)-2015年1月4日(日)