ミニガイド最終回は、本展のSection 3とSection 4からみどころをご紹介します。「空間から環境へ」をテーマに掲げたSection 3では、日本万国博覧会から会場模型とエキスポタワー、「グローバル・メタボリズム」がテーマのSection 4では、グローバル・メタボリズム・マップが注目ポイントです。
《日本万国博覧会》模型
「メタボリズムの未来都市展:戦後日本・今甦る復興の夢とビジョン」展示風景、森美術館
撮影:渡邉 修
<Section 3>
■万博会場模型2点
1970年に開催された大阪万博は、全体計画を丹下健三が総括し、メタボリストたちが一堂に介して万博会場を未来都市として描く、実験的プロジェクトがたくさん実現しました。
この2つの模型を見ると、計画時と竣工後では、随分建物の形や大きさも変わっていることに気づかれると思います。竣工後の模型は、あるサラリーマンの方がすべて紙を使って手作りしたものです。開催から40年経った現在でも、大阪万博の斬新なアイデアとデザインは、人々を惹きつけてやみません。
「メタボリズムの未来都市展:戦後日本・今甦る復興の夢とビジョン」展示風景、森美術館
撮影:渡邉 修
■エキスポタワー (菊竹清訓)
太陽の塔とともに大阪万博のランドマークであったエキスポタワー。3本の主柱の回りには、三角形を組み合わせてできた多面体のキャビンがいくつも取り付けられ、展望台として使われました。菊竹は1958年以来、塔状の構造体に、未来住宅のカプセルを付け、そこに住まうという提案をしてきました。このタワーは住居ではありませんが、そのアイデアが生かされたものです。老朽化のため2003年に惜しくも解体されてしまったエキスポタワーですが、この巨大な鉄でできた三角形は、実際に展望台として使われていた窓です。菊竹邸の庭にあったものを、お借りしてきました。
Section3 MAP
<Section 4>
■グローバル・メタボリズム・マップ
メタボリズムの思想が花開いた大阪万博後、メタボリスト達は海外へその活動の場を急速に広げていきます。このマップにはその中から選んだ約50のプロジェクトが紹介されていますが、実際には丹下健三は100近く、黒川紀章や磯崎新も50以上のプロジェクトを実現しています。その中には地震で壊滅状態になった年都市の再建計画も含まれています。未曾有の被害を受けた東日本の再建、そして日本全体の再構築に、今あらためてメタボリズムの思想を生かす時ではないでしょうか?
槇 文彦《リパブリック ポリテクニック》2007年
「メタボリズムの未来都市展:戦後日本・今甦る復興の夢とビジョン」展示風景、森美術館
撮影:渡邉 修
丹下健三チーム《スコピエ都心部再建計画》1965-1966年
「メタボリズムの未来都市展:戦後日本・今甦る復興の夢とビジョン」展示風景、森美術館
撮影:渡邉 修
丹下健三チーム《スコピエ都心部再建計画》1965-1966年
「メタボリズムの未来都市展:戦後日本・今甦る復興の夢とビジョン」展示風景、森美術館
撮影:渡邉 修
Section4 MAP
<関連リンク>
・「メタボリズムの未来都市展」バーチャル鑑賞ツアー
(1)「メタボリズム」ってなあに
(2)「Sec 1メタボリズムの誕生」では《広島ピースセンター》《農村都市計画》が見どころ!
(3)「Sec 2メタボリズムの時代」では《中銀カプセルタワー》に注目!
(4)「Sec 3:空間から環境へ」では《大阪万博》を。「Sec 4:グローバル・メタボリズム」では《スコピエ都心部再建計画》をチェック!
・「メタボリズムの未来都市展:戦後日本・今甦る復興の夢とビジョン」
会期:2011年9月17日(土)~2012年1月15日(日)