2010年10月21日(木)

【速報】2011年の展覧会情報公開~11月からは「イ・ブル展」とシンガポールで多彩に活動するホー・ツーニェン(3)

2011年度の最後を飾る展覧会は、ニューヨーク近代美術館など世界各地の美術館やギャラリーで個展が開かれ、世界中から注目されている現代アジアを代表する女性アーティスト、イ・ブルの個展「イ・ブル展」。またMAMプロジェクト016では、ヴェネチア国際映画祭(2009年)でワールドプレミアされた監督作品『EARTH』など、映像を主体とした多彩な表現方法で観客の想像力を引き出す、シンガポール気鋭のアーティスト ホー・ツーニェンに注目します。
 


《なぜならすべて》(「モン・グラン・レシ」シリーズより)
2005年 230x250x500cm
Collection & Photo Courtesy: Govett-Brewster Art Gallery, New Plymouth,
New Zealand

◆イ・ブル展
ニューヨーク近代美術館に制作依頼され、代表作とも呼ばれる「きらびやかに装飾された腐敗する魚」(1997年)などが、賛否両論ながらも大きな反響を生んだ、イ・ブル
1990年初頭に国際的なアートシーンに登場して以降、現代アジアを代表する韓国人アーティストとして独自の位置づけを築いてきました。1999年ウェニスビエンナーレ韓国館代表、またニューヨークのニューミュージアム(2002年)、パリのカルティエ財団(2007年)など世界各地で個展が開催されています。

初期は、パフォーマンスとソフトスカルプチャーを融合させた作品を制作していたイ・ブル。その後、アーティスト自身の身体から独立し、拡張された身体、妖怪など想像上の生物や深海生物、熱帯植物を連想させる未知の生命体としての「モンスター」、完璧さへのヴィジョン、人類を超越した理想的な姿の象徴としての「サイボーグ」シリーズなどの彫刻作品に発展しました。さらに人類の欲望、宇宙との関係性、ユートピア的な思想や哲学といったイ・ブルの多角的な洞察は、近年では建築的なスケール感に広がり、未来都市やユートピア的な都市景観を思わせる「モン・グラン・レシ」シリーズに繋がっています。

本展は、初期から現在まで20 年間以上にわたる彼女の作品を総覧する、はじめての展覧会。展示は経年的で時代ごとではなく、同時並行的に発展してきたイ・ブルの代表的なシリーズの本質的な意味や哲学的な含意、あるいは地政学的な歴史に関連づけられる文脈を、主要作品群によって浮き彫りにすることを試みます。本展終了後、韓国、北米を中心に国際巡回を予定しています。

【イ・ブル】
1964 年、韓国生まれ。1987 年、公益大学美術科彫刻専攻卒。1990 年代よりニューヨーク近代美術館(プロジェクトスペース)(1997)、ベルン・クンストハーレ(1999)、ル・コンソルティウム、ディジョン(2002)、ニューミュージアム、ニューヨーク(2002)、シドニー現代美術館(2004)、カルティエ現代美術財団、パリ(2007)など世界各地で個展を開催。1998 年にはHUGO BOSS 賞ファイナリスト、1999 年には第48 回ヴェニス・ビエンナーレ韓国館、ハロルド・ゼーマン企画の国際展参加などで高い評価を得た後、数々の国際展、グループ展に参加。国内でも国際交流基金、金沢21 世紀美術館、東京都現代美術館などで紹介されている。その他、パブリックコレクション多数。

主催:森美術館
企画:片岡真実(森美術館チーフ・キュレーター)、ダン・キャメロン(プロスペクト・ニューオーリンズ、ディレクター)
 


《ニュートン》
2009年 HD, 4分16秒
Photo Courtesy the artist and Osage Gallery, Hong Kong

◆MAMプロジェクト016:ホー・ツーニェン
ホー・ツーニェン(何 子彦 1976年生まれ)は、ヴェネチア国際映画祭でワールドプレミアされた監督作品『EARTH』をはじめ、絵画、映画、インスタレーション、演劇など様々なメディアを用いて歴史や伝承、既存の物語などを参照しつつ作品化することで、現実世界への介入と検証を行っているシンガポール気鋭のアーティスト。ドキュメンタリー風でありながらも詩的かつ演劇的な映像世界は、観客の想像力を引き出すことで、各自の世界俯瞰図として想像される現実を再考させます。

近年、数々の国際展、映画祭に招聘され注目を集めており、2009年には横浜国際映画祭にも参加。今回のMAMプロジェクトでは新作の出展も予定されており、日本で初めての個展としても注目を集めることでしょう。

企画:椿 玲子(森美術館アシスタント・キュレーター)
 

■上記展覧会の会期
2011年11月26日[土]− 2012年2月26日[日]
 

<関連リンク>
・【速報】2011年度展覧会情報(全3回)
第1回 3月からは「フレンチ・ウィンドウ展」とベルリンを拠点に活躍する田口行広(1)
第2回 7月からは「メタボリズム展」と香港の気鋭アーティスト ツァン・キンワー(2)
第3回 11月からは「イ・ブル展」とシンガポールで多彩に活動するホー・ツーニェン(3)

2010年の展覧会スケジュール

MAMPROJECTとは?

カテゴリー:04.イベント情報
森美術館公式ブログは、森美術館公式ウェブサイトの利用条件に準じます。