2010年9月17日(金)

「吉岡徳仁と子どもたちのスケッチ大会」ワークショップ開催

子どもたちが感じた自然を、クレヨンや色鉛筆を使って自由に表現!夏休み真っただ中の8月19日(木)、「ネイチャー・センス展」出展作家の吉岡徳仁さんを講師に招いたワークショップを、展示室内にて開催しました。


《スノー》の前で子どもたちにレクチャーする吉岡さん

吉岡さんは日ごろから「子どもは、大人にはできない発想力がある」と感じているそうです。そして、子どもたちが作品を通して自然の美しさや怖さ、壮大さなど、さまざまなイメージを膨らませ、体感したことを自由に表現してもらう場を作りたいという彼の発案で、今回のワークショップを行うことになりました。

当日は17人の子どもたちが参加。スケッチを始める前に、まず自然現象やそこから感じる感覚を吉岡さんがどんなかたちに表現をしたのか、3つのグループに分かれてじっくり観察しました。

ガラスや結晶でつくられた吉岡さんの作品に、みんな興味津々!《スノー》は300kgもの大量の羽毛が風により舞い上がる作品ですが、羽毛の積もっている中に、地層のような隙間をみつけて「モグラの巣みたい!」と言ったり、羽毛の舞っている様子を見て「海の中にいるみたい」など、子どもたちからは、様々な感想を聞くことができました。

鑑賞の後は、いよいよスケッチの時間です。《スノー》をモチーフに、自分が感じたことのある「自然」を、自由に描いてもらいます。
吉岡さんからまず、「うまく描かないこと」、「自分が感じたことをそのまま描くこと」というアドバイス。また、「《スノー》は雪をモチーフにした作品ですが)雪を描くのではなく、光を描いても良い」、「自分が好きなように、ほかの人と同じにしようと思わなくて良い」とも。うまく描かなくても良いと聞いたみんなは、ちょっと安心した様子です。

画材は白やパステルカラーの画用紙に、クレヨンや色えんぴつ。画板を台に、《スノー》の前に座って絵を描きます。そして、準備ができたところで、吉岡さんから一言。

「みんな目をつぶって、1分間、心でこれから描くものを想像してみよう」

...しばし目をつぶって、自分の描きたいものを思い描いたところで...さあ!スケッチ開始です。

当初吉岡さんは「感じたことを描くなんて、混乱してしまうかな...?」と言っていましたが、そんな心配は無用 。みんな個性的なスケッチを完成させました。

次は、順番に前へ出て、完成した作品の発表です。子どもたちがどんなことを思って描いたのかを聞いていきました。
自然のイメージは「台風4号」、「花火」、「川」、「風の動き」、「風の中の雪」、「たつまき」...など、子どもによってそれぞれ違います。中には絵の中にエジプトの言葉を入れて描いた子や、《スノー》を観て「ふんわりしていてあたたかみを感じたから」とオレンジ色で描いた子、羽毛をバラの花びらにかえてスケッチしてくれた子などがいました。バラの花びらに例えるなんて、「まるで詩のよう」と吉岡さんも驚いていました。

ワークショップの最後では、吉岡さんとみんなで記念撮影をしました。「おうちで飾りますか?」と聞くと、「飾る!」と言ってくれた子や、「どうかな...?」と悩んでいた子もいましたが、自然をかたちにするアイディアに刺激を受けて、自由にふくらませた自然のイメージを詰め込んだステキな作品は、みんなと一緒におうちへ帰っていきました。

<関連リンク>
「ネイチャー・センス展: 吉岡徳仁、篠田太郎、栗林 隆
 日本の自然知覚力を考える3人のインスタレーション」

 会期:2010年7月24日(土)~11月7日(日)

ワークショップ「吉岡徳仁と子どもたちのスケッチ大会」

吉岡徳仁、篠田太郎、栗林 隆の素顔に直撃!

カテゴリー:03.活動レポート
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