映画監督さながらに、お父さんお母さんに指示を出しながらアニメ制作に取り組んだ子どもたち。完成した作品の出来はいかに? 7月24日(土)に開催された「MAM プロジェクト012:トロマラマ」関連パブリックプログラム「おやこワークショップ」では、インドネシアから来日中のトロマラマ(フィービー・ベビーローズ、ハーバート・ハンス、ルディ・ハトゥメナ)を講師に迎え、みんなでコマ撮りアニメを作成しました。その様子を、完成した作品とともにレポートします。
当日は11組の親子が参加しました。最初はトロマラマの自己紹介から。「トロマラマが住んでいるインドネシアってどんなところ?たくさんの島があるところなんだね」と、参加者は彼らがどこから来たのかを世界地図を見ながら確認しました。その後、トロマラマの展示作品を参加者と彼らが一緒に鑑賞。壁に展示された400点以上の版木に参加した親子もびっくりです。彼らの代表作の一つである《戦いの狼 》は、その400点以上の版木の1枚1枚が、映像作品の1シーンになっているという仕掛け。参加者も、完成までに膨大な作業量と時間がかかっていることを感じ取っているようでした。
時間と手間をかけるトロマラマの制作スタイルを親子が理解したところで、トロマラマ「コマ撮りアニメ」の仕組みを自らつくったサンプルを見せながら具体的に説明しました。紙でつくったサッカーボールをトロマラマの3人が蹴ったり、ヘディングしたりしてボールを動かす映像にみんな興味津々。「コマ撮りアニメ」の仕組みについての説明が終わると、いよいよ参加者による制作が開始されました。ハサミ同士が戦いながら紙を切り刻む話、鉛筆立てから飛び出した鉛筆が旅に出る話、練り消しゴムの1粒1粒でピラミッドが完成していく話、バットで打ったボールが最後には自分の口のなかに入る話(!?)など、アーティストと同じ時間を過ごすなかで、子どもたちの創造力はさらに広がっていくようでした。
一緒にワークショップに参加したお母さんお父さんは、まるで映画監督のように指示を出す子どもたちのお手伝い。1シーン1シーンを根気よくカメラで撮影していきました。撮影作業は4時間もの長丁場でしたが、夢中になって取り組む子どもたちにとっては、あっという間だったのかもしれません。
最後は、トロマラマが画像を自分たちのパソコンで参加者と一緒に確認しながら編集を加えて、いよいよ作品は完成。完成した作品は、楽しい物語がたくさん詰まったものに。トロマラマのメンバーも、当日サポートした私たち美術館スタッフも、子どもたちの自由な発想力とその行動力に改めて刺激を受ける一日でした。
完成した作品はこちら!
夏休みがはじまったばかりの展覧会初日、ワークショップに親子が集い、楽しい時間を過ごすことで、美術館は和やかで開放された雰囲気の空間となりました。現在、展覧会場の最後に、子どもがつくった作品を上映していますので、ぜひご覧ください。森美術館パブリックプログラムでは、今後の展覧会でも親子を対象にしたプログラムを企画します。みなさんも美術館でリラックスした時間を過ごしませんか。
<関連リンク>
・森美術館パブリックプログラム
・「MAMプロジェクト012:トロマラマ展」
会期:2010年7月24日(土)~11月7日(日)
・Fricker(当日の様子をご覧いただけます)
・コマ撮りアニメですべての物に命を吹き込みたい~トロマラマ アーティストトーク レポート
・グループ名の由来はトラウマ?!~インドネシアの3人組「トロマラマ」インタビュー