2010年1月25日(月)

「医学と芸術展」に寄せられた質問にお答えします<その1>

来館者の方から、毎日、作品に関するさまざまな質問が現場のスタッフに寄せられます。専門的な質問になると、残念ながらその場でお答えできないことも......。でも、そうした質問は担当キュレーターに必ず伝え、回答を得て、スタッフ全員で共有し、次に同じ質問があったときにお答えできるように準備しています。

今回は「医学と芸術展」会期中に寄せられた質問と、キュレーターによる回答を2回に分けて掲載します。展覧会の観賞に、ぜひお役立てください。

Q. パトリシア・ピッチニーニ《ゲーム・ボーイズ・アドヴァンス》について:


パトリシア・ピッチニーニ
《ゲーム・ボーイズ・アドヴァンス》(部分)
2002
シリコン、ファイバーガラス、人毛、衣服、ゲーム機
140 x 36 x 75 cm
Courtesy of the Artist
撮影:渡邉 修

――2体の人形は、顔立ちが違うものが何体か制作されているのでしょうか?

A.2体は同じ人形です。洋服だけが違っています。

Q.マグナス・ウォーリンの《エクササイズ・パレード》について:


「マグナス・ウォーリン
《エクササイズ・パレード》
2001年
ヴィデオ・インスタレーション(2面バック・プロジェクション、3Dアニメーション・ヴィデオ)
サイズ可変 2分48秒
作家蔵
Courtesy: Galerie Nordenhake, Berlin, Germany

――筋肉体に刺さっているように見える、黒い文字は何と書かれているのでしょうか?

A.突き刺さった各筋肉の名前がアルファベットで書かれていて、同時に矢としても機能しています。この作品における筋肉体は、病気や怪我などにおいて顕著な「痛み」を感じることができない客体(そのような感覚や精神性を持たないもの)として表現されています。そのため、矢が体じゅうに刺さっているにも関わらず、痛みをもたらす7つの球が転がってきても、その筋肉体は恐れずに単純なエクササイズ・パレードを続けることができるのです。

Q.ウォルター・シェルス《ライフ・ビフォア・デス》について:


ウォルター・シェルス
《ライフ・ビフォア・デス--エルミラ・サング・バスティアン》
2004年1月14日/2004年3月23日
写真
各 100 x 100 cm

――写真はどのような技法を使ってプリントされているのですか?

A.展示用の大型カラープリントによく使用される、ラムダC-プリント(Lambda C-Print)で印刷した写真を、アルミ板に重ねています。特に変わった技法ではありません。

Q.ロナポンディック《クリムソン・クイーン・メイプル(しだれモミジ)》の素材について:


ロナ・ポンディック
《クリムソン・クイーン・メイプル(しだれモミジ)》
2003
ステンレス、着色されたブロンズ、河原石
147 x 358 x 227 cm
Courtesy of Sonnabend Gallery, New York
撮影:渡邉 修

――顔や枝などの各々の部分は、ブロンズやステンレスなのでしょうか? 鉢の中の石の種類は何ですか?

A.木の部分はステンレスで、鉢は緑青づけされたブロンズでできています。石は、黒い川原石という以外は作家本人も分からないようです。木は元となる部分に、大きな枝3本を足して出来上がっています。大変重い作品で、鉢と石を合せると全部で437Kgにもなります。

※アーティストのロナポンディック本人が、この作品について語っています。

次回も引き続き、質問と回答をご紹介します。

<関連リンク>
「医学と芸術展:生命(いのち)と愛の未来を探る」
会期:2009年11月28日(土)~2010年2月28日(日)

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