超える、行き来する、そして「生きるちから」を放つ。異なる文化、あるいは現実と想像の世界の境界を往来する子どもの性質に焦点を当てる「ゴー・ビトゥイーンズ展:こどもを通して見る世界」。“1分で読む!「ゴー・ビトゥイーンズ展」”と題して、担当キュレーターが参加作品を解説します。
ジャン・オー
《パパとわたし:No.29》
2006年
タイプCプリント
100×100cm
森美術館蔵、東京
ジャン・オー
白人の男性と東洋系の少女。その組み合わせのポートレイトがずらりと並んでいます。ふたりはどのような関係なのでしょうか?見る人を戸惑わせる写真です。《パパとわたし》という作品タイトルからわかるように、彼らは親子です。ジャン・オーは、国際養子縁組を通じて中国からアメリカに渡ってきた少女たちと、その受け入れ先の家族を訪ね、このシリーズを制作しました。
各家庭にはそれぞれのドラマがあったとジャンは語っています。みな彼女たちを家族として迎えたことの幸せを伝え、少女を「天使」、「プリンセス」と呼ぶ人も多かったそうです。
中国の一人っ子政策や、国際養子縁組に関する法律の緩和などの影響によって、多くの子ども(そのほとんどが女の子)が海を渡りました。国や血のつながりを超えた、新たな家族の絆が生まれているのです。
文:荒木夏実(森美術館キュレーター)
ジャン・オー氏が出演したトークセッション(7月13日開催)のレポートはこちら:
越境した子どもたちのアイデンティティを探る
トークセッション「異文化を生きる子どもたち」
<関連リンク>
・「ゴー・ビトゥイーンズ展:こどもを通して見る世界」
会期:2014年5月31日(土)-8月31日(日)
・1分で読む!「ゴー・ビトゥイーンズ展」
(1)ジャン・オー《パパとわたし:No.29》
(2)金仁淑《ひいおばあちゃんと私》
(3)ストーリー・コー《Q&A》
(4)梅佳代《女子中学生》
(5)スヘール・ナッファール&ジャクリーン・リーム・サッローム《さあ、月へ》
(6)リネカ・ダイクストラ 《女の人が泣いています(泣く女)》