子どもたちとレアンドロ・エルリッヒが出会い、ワークショップを行いました!
2018.2.21(水)
2017年11月19日(日)、キッズ・ワークショップ「レアンドロさんと一緒に」を開催しました。
ワークショップ会場に次々に集まってくれたのは、4歳から6歳までの子どもたちです。会場入りしたレアンドロ・エルリッヒさんはまず集まった子どもたちをゆっくりと見渡し、静かに話し始めました。自分はアート作品を創る仕事をしていること、まだ小さかった子供時代から建築家のお父さんの影響もあって、いろいろなものを使って、ものを作るのが大好きだったことなど。
そのあと、「今日はぜひ、僕の展覧会を見てください!そのあとみんなで絵を描こうと思うんだけど、どうですか?」と言って子どもたちと展示室へ向かいました。子どもたちは、レアンドロさんの案内で、不思議な作品を体験しました。水に浮かんでいるように見える舟、空に浮かんでいるはずの《雲》、皆が幽霊のようになってしまう《教室》、鏡の迷路のような《試着室》、壁が横たわっている《建物》など…。モティーフは、小さな子どもたちでも知っているものばかり。それなのにどこかが、とても不思議なのですから、子どもたちは大はしゃぎです。
展示室から戻ると、子どもたちは印象に残った作品や、自分の頭に浮かんだイメージをクレヨンで自由に描きました。子どもたちの絵が完成に近づいてきた頃、レアンドロさんのアイディアで、彼は一旦、姿を隠しました。その間にスタッフの声がけで作品をイスに並べ、子どもたちの絵の展覧会を仕立て上げました。戻ってきたレアンドロさんは、手をたたきながら驚いたように言いました。「これはすごいね!みんなの展覧会だ!」。子どもたちは一人一人が自分の絵の前に座り、今日何を書いたのかを話してくれました。
海外アーティストと、未就学の年齢の子どもたちが出会うワークショップは、当館にとっても初めての試みとなりました。レアンドロさんの作品の多くには、社会常識や既成概念に囚われ、真実を見失いがちな大人たちへ警鐘を鳴らす意味が込められています。大人がもう忘れてしまった時間感覚やイメージの中を過ごしている幼い子どもたちの感性に、彼の作品はどのように感じられたでしょうか。これから小学校へ進み、常識や理性を身につけながらゆっくりと成長していく子どもたちにとって、極上のユーモアに包まれた彼の作品の意味を知ることは、ずっと先のことかもしれませんが、今回の体験が美術館での現代アートの原体験のひとつになることを願っています。
文:白濱恵里子(森美術館アソシエイト・ラーニング・キュレーター)
撮影:田山達之
※ワークショップの様子は、こちらの映像をご覧ください。
※Flickrでその他の写真も公開中
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