5月に開催! 六本木ヒルズ×森美術館
ワークショップ「こんなパブリックアートがあったら?」レポート
2017.8.16(水)
2017年5月14日、小学生を対象にしたワークショップ、まちと美術館のプログラム「こんなパブリックアートがあったら?」を開催しました。六本木ヒルズには数多くの個性豊かな「パブリックアート&デザイン」が点在しています。これらは、六本木ヒルズを東京の文化の中心地にしようというアイディアの一環としてスタートしたプロジェクトによるもので、世界で活躍するアーティストやデザイナーに特別に制作を依頼したものです。
これらのうち、実際に座ることのできるイスの機能を持った「ストリートファニチャー」があることをご存知でしょうか。今回のワークショップはその「ストリートファニチャー」に着目しました。アイディアや素材などについて対話をしながら「ストリートファニチャー」を鑑賞し、子どもたちが自分の街に置きたいイスを考え、粘土を使ってその模型を作り上げました。六本木ヒルズのゴールデンウィークのテーマは「SOUNDS OF THE CITY」。街や作品から聞こえてくる「音」を意識しながら、新緑の中、ワークショップを楽しみました。
まずは、世界のユニークなパブリックアートのイスを写真で見ながらウォーミングアップ。ピアノの鍵盤と音譜がデザインされたイス、開いた本の上に座れるイス、巨大ザメの彫刻に食べられそうに見えるイスなど、身近なものから発想した奇想天外なイスに子どもたちはびっくり。
そして、六本木ヒルズの目抜き通りである約400メートルのけやき坂に点在する作品を実際に見に行きました。空から柔らかなリボンが舞い降りたように見える内田繁さんの《愛だけを…》は、実はステンレスの丈夫な素材で作られています。場所によって座り心地の変化があることを皆で確かめました。続いて、吉岡徳仁さんのひんやりと冷たいガラスを使用した《雨に消える椅子》を鑑賞。「ストリートファニチャー」がイメージの面白さだけでなく、人との対話や癒しをもたらす街のコミュニケーション・ツールであることを学びました。
そのあと、会場に戻った子どもたちはアイディアを膨らませながら、粘土を使って思い思いのイスの模型を作り始めました。ベースになる白粘土に色粘土を混ぜて自由に色を作ったり、コルクやモール、ガラス玉などをうまく使ったり。柔らかい粘土を立体的にするために割り箸など支えになるものを入れて工夫をしたり、手を動かしながら、真剣に制作を楽しみました。
最後の発表では、日本の四季をテーマにしたイス、罠のような仕掛けで上から網が落ちてくるイス、《落ち着くね》という題名のイスなど、子どもたちならではのイメージ豊かな模型が完成しました。
森美術館が六本木ヒルズの街に飛び出し、子どもたちのアイディアで自分の街に置きたい小さなパブリックアートを作るこのワークショップは2015年から年に2~3回テーマを変えながら開催しています。今回、参加された保護者からは「子どもたちのアイディアが実現して本物のイスになったらいいですね。」といった夢のあるご感想もいただきました。今後も、六本木ヒルズの文化的要素を生かしながら、学校の勉強とまたひと味異なる学びの機会を子どもたちに提供していきたいと考えています。次回のワークショップは、2017年8月19日にまた少し違ったテーマで開催予定です。
文:白濱恵里子(森美術館アソシエイト・ラーニング・キュレーター)
撮影:御厨慎一郎
※本ワークショップは、六本木ヒルズ「街の音を聴いて、観て、奏でる。SOUNDS OF THE CITY」の一部として開催しました。
※ワークショップの記録映像はこちらから。
六本木ヒルズパブリックアート&デザイン「ガイドマップ」(PDF)はこちらからご覧いただけます。
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