N・S・ハルシャと巡る“チャーミングな旅”「N・S・ハルシャ展」#6
2017.5.9(火)
ブログ連載第6回では南インドの伝統的な料理、ミールスを題材にした《レフトオーバーズ(残り物)》を解説します。
- 《レフトオーバーズ(残りもの)》
- 2008/2017年
- アクリル、プラスティック用樹脂、キャンバス
- サイズ可変
- 展示風景:「N・S・ハルシャ展:チャーミングな旅」森美術館、2017年
- 撮影:椎木静寧
バナナの葉にご飯と数種類のスパイス料理が配された南インドの伝統的な食事は、「ミールス」と呼ばれています。人びとは床に座り、並んで食事をしますが、カルナータカ州にあるヒンドゥー寺院ダーマスタラのように、毎日数万人の巡礼者に食事を提供するメガキッチンのような例もあります。南インドでは米が主食ですが、グローバル化やバイオテクノロジー産業の浸透により、インド国内では遺伝子組み換えされたBtライスが大きな話題にもなっています。
《レフトオーバーズ(残りもの)》は、日本での個展(2008年)に合わせて制作されたもので、日本の産業史や時代から取り残されつつある手工芸などへの関心から生まれたものです。N・S・ハルシャは食品サンプル会社と共同で、あえて食べ残された状態のミールスを作りました。食べ残されたもの、文化的なレフトオーバーズ(取り残されたもの)、そして残された足跡などから、さまざまな意味を読み取ることができます。また、バナナの葉の上のカラフルな食べもの、マットに描かれた足跡は、絵画的ともいえるでしょう。
展示風景:「N・S・ハルシャ展:チャーミングな旅」森美術館、2017年
撮影:椎木静寧
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