本展は1980年~1990年代に当時最新技術だったビデオを使用し美術作品を制作した台湾のパイオニアたちの活動に注目するものです。この主題をテーマに、2015年に台北の関渡美術館で開催された大規模な展覧会「啓視録:台湾のビデオ・アート1983-1999」展のエッセンスを凝縮し、「MAMスクリーン019:1980~1990年代、台湾ビデオ・アートの黎明期(上映編)」と「MAMリサーチ010:1980~1990年代、台湾ビデオ・アートの黎明期(展覧会編)」の2部に分けて紹介します。
台湾のビデオ・アートは、1983年~1984年に誕生しました。日本に留学していたカク・イフン(グオ・イーフェン/郭挹芬)は、1983年に茨城県の筑波大学修士課程の入学試験を契機に台湾アート界初のビデオ・インスタレーションを制作し、同年末にはガオ・チョンリー(高重黎)が台北での自身の写真展で、監視カメラとモニターを使った作品を発表。同様の時期にはチェン・ジエレン(陳界仁)が監視社会に言及するビデオ作品を制作したといわれています。
その後、ワン・ジュンジェ(王俊傑)やユェン・グァンミン(袁廣鳴)といった現在の台湾アート・シーンを代表する作家たちが映像作品の制作を始め、20世紀末までにその表現は多様化し、映像を扱う作家の層も厚くなっていきます。
「MAMリサーチ010」では、この時代の実験的な試みや新しい表現の追求、映像などメディアについての思想を、作品、記録映像、テキスト、書籍、資料や年表等によって紐解きます。また、台湾の作家と日本との関係についても着目します。
紹介作家
チェン・ジェンツァイ(陳正才)
チェン・ジエレン(陳界仁)
ホン・スージェン(洪素珍)
ガオ・チョンリー(高重黎)
カク・イフン(グオ・イーフェン/郭挹芬)
リー・グァンウェイ(李光暐)
リン・ジュンジー(林俊吉)
ロ・メトク(ルー・ミンドー/盧明德)
ワン・ジュンジェ(王俊傑)
ユェン・グァンミン(袁廣鳴)
※資料展示のみの作家も含まれます。