「MAMプロジェクト031」で地主麻衣子は、過去に耳にした不思議な音を手がかりに、私たちの生活をとりまく様々な現象やテクノロジーと、それを捉える私たちの感覚の間に存在する、豊かな詩的空間を、美術館の展示室の中に立ち上がらせようとしています。
展示を構成するのは、祖父の法事に参加した際に聞いた音についての詩が現れる大型プロジェクション、回転するモニター、石の転がる音の聞こえる工業用ダクトといった要素です。それらは曖昧で捉えどころのないもののように思えますが、どれもが私たちを取り巻く過去や未来を含めた複層的な時間や、テクノロジーと人間の身体、記憶との関係など、今日的なテーマを極めて個人的な方法論で作品化することを試みるものです。
地主 麻衣子
1984年神奈川県生まれ。多摩美術大学大学院絵画専攻修了。2019年〜2020年にヤン・ファン・エイク・アカデミー(オランダ、マーストリヒト)のレジデンスプログラムに参加。主な個展に、「親密さと距離」Centre A(バンクーバー、2023年)、「ブレイン・シンフォニー」ホスピテイル・プロジェクト(鳥取)/アートセンター・オンゴーイング(東京、2020年)、「欲望の音」HAGIWARA PROJECTS(東京、2018年)。主なグループ展に「新・今日の作家展2020 再生の空間」横浜市民ギャラリー(2020年)、「表現の生態系 世界との関係をつくりかえる」アーツ前橋(2019年)、「第11回 恵比寿映像祭」東京都写真美術館(2019年)など。