本展担当キュレーター近藤健一によるギャラリートーク
Photo: Kioku Keizou

メンテナンスのために来館していた宇治野宗輝が飛び入り
Photo: Kioku Keizou

イベントレポート
メンバー限定MAMCナイト「アーティストと自由に話せるフリートークも!」

森美術館のメンバー限定イベント、MAMCナイトを4月20日(火)に開催しました。今回はキュレーターによるギャラリートークと、メンバーが自由にアーティストと話せるフリートークの2部構成です。

【知れば知るほど鑑賞が楽しくなるギャラリートーク】
森美術館アソシエイト・キュレーターの近藤健一が、まずは「六本木クロッシング2010展」のコンセプト展覧会を読み解く5つのキーワードを簡単にご・ミ介。その後会場へと進み、主な作品の見どころを解説しました。

その中の1つをここでご紹介すると、展覧会場にごく普通のCDショップに見えるコーナーが現れます。それは相川勝さんによる《CDs》というインスタレーションで、よく観ると、CDのジャケットはどれも有名ミュージシャンのものを手書きで精巧にコピーしたものだとわかります。

「複製技術で世界中に流通し、ポピュラリティを獲得したポップミュージックと、1点ものゆえに高額で取引され、崇められる美術品。どちらがいいのかという問いをはらんだ作品です」と近藤。こうした解説に、みなさん新たな観方を発見したり、考えたりしていたようでした。

ギャラリートークの中盤にはうれしいサプライズがありました。作品をメンテナンスしていたアーティストの宇治野宗輝さんに、近藤が「ぜひご本人から一言解説を……」とマイクを向けたところ、急なお願いにもかかわらず快く応じてくれました。しかもイベント終盤には、ライブ・パフォーマンスも披露。メンバーは大喜びでした。

【アーティストと自由に話せるフリートーク】
今回は「アーティストと話がしたい!」というメンバーからの要望に応え、アーティストに自由に質問したり感想を伝えたりできるフリートークを実施しました。メンバーを迎えてくれたのはHITOTZUKIと、加藤翼さん、青山悟さんの3組です。

HITOTZUKI はKamiさんとSasuさんによるユニットで、ふたりはプライベートでもパートナー。本展には天井高6mという巨大な壁画とスケートボードのランプ(滑走台)からなる新作を出品しています。

作品の焦点となる位置を決め、幾何学的なラインを最初に引く役目は女性のSasuさんだそう。「ちょっとオーバーかな、と思うぐらい大きく描くのがちょうどいい。(別の作品の制作では)子どもをKamiにみてもらっていたので、一人で30mの高さまで上って描いたこともあります」とのこと。一方のKamiさんは、この日はスケートボードを持参。メンバーがリクエストすると、ダイナミックなトリック(技)を決めてくれました。

ただ向かい合っている仲の良い二人ではなく、同じ方向に向って並んで走っているような、とても爽快な空気を持った二人でした。

加藤翼さんは、巨大な構造物をみんなで引き倒すという豪快なプロジェクトを展開しています。本展では実際に使用した構造物と、様々な地域で行った引き倒しの様子を収めた映像を展示しています。

あるメンバーが「驚くほど長い『A』の形をした構造物を引っ張っている映像がありますけど、見るからに大変そうですよね」と話しかけると、加藤さんは「あれ、長い辺は12mもあるんです。みんなに『無茶だ!』と言われた……けどトライしました(笑)。構造物が倒れるのは一瞬。でもそのとき生まれる連帯感とかみんなの顔、その一瞬を得るためにやってます」と、楽しそうに語っていました。

会話を通して、「このプロジェクトは、『協働』から生まれる人間のパワーを信じている、加藤さんの大らかな人柄そのもの」と感じたメンバーも多かったのではないでしょうか。
青山悟さんの作品は緻密に縫われた刺繍ですが、一見しただけではその素材はおろか、写真なのか絵なのかもわかりません。しかも暗闇で輝いて見える、とても不思議な雰囲気の作品です。一体どうやって創っているのでしょうか。

――その答えは、作品のコンセプトとともに青山さんのフリートークで明かされます。「森美術館公式ブログ」で詳しくリポートしていますので、ぜひご期待ください。

特別にスケートするKami (HITOTZUKI)
Photo: Kioku Keizou

アーティストトークに参加する加藤翼
Photo: Kioku Keizou

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青山 悟
《Glitter Pieces #1》
2008年
ポリエステルにメタリック糸と黒糸で刺繍
Courtesy: Mizuma Art Gallery, Tokyo
Photo: Miyajima Kei

HITOZUKI (Kami + Sasu)
《P.I.B》
2007年
レイテックス塗料およびスプレー塗装の壁画
横浜

メンバー限定イベント「六本木クロッシング2010展」MAMCナイト
「スペシャル・アーティストトーク」に青山 悟、加藤 翼、HITOTZUKI が登場!

毎展覧会恒例のメンバー限定イベント「MAMCナイト」を「六本木クロッシング2010展:芸術は可能か?」では、下記の要領にて開催いたします。

今回は、担当キュレーターによるギャラリートークに続き、特別ゲストとして出展アーティスト3組をお迎えして「スペシャル・アーティストトーク」を行います。メンバーは、それぞれの展示作品の前でアーティストに質問をしたり、感想を伝えたり、自由にコミュニケーションをはかっていただけます。ギャラリートークの間に心にふと浮かんだことを、そのままアーティストと語り合える、またとないチャンス!アーティストとの交流を通して、作品の新たな一面が見えてくることでしょう。メンバーだから体験できる一番贅沢な「アーティストトーク」を、存分にお楽しみください。


《開催要項》

日 時: 2010年4月20日(火)19:00〜22:00(受付開始:18:45)
※最終入館21:30
場 所: 森美術館(六本木ヒルズ森タワー53階)
対 象: MAMC個人メンバー
同伴可能人数: べネファクターメンバーは2名まで同伴入場可。
フェローメンバーは1名まで同伴入場可。
フレンドメンバーはご本人のみ入場可。
※メンバーとご同伴者は必ず一緒に受付へお越しください。
参加費: MAMC個人メンバー&同伴者 ともに無料

《スケジュール》
★ギャラリートーク★ ※日英同時通訳

案内役: 近藤健一(森美術館アソシエイト・キュレーター)
スタート時間: 19:00〜(約45分間)
※スタート5分前に、ギャラリー入口にお集まりください。

★スペシャル・アーティストトーク★
※英語の通訳が必要な方は美術館スタッフがアテンドしますので、お気軽にお申し付けください。

スペシャルゲスト: 青山 悟、加藤 翼、HITOTZUKI(Kami+Sasu)
*50音順 敬称略
スタート時間: 20:00〜(約1時間)
※それぞれの作品展示会場で開催いたします。

《プロフィール》

青山 悟  1973年東京都生まれ/東京都在住

青山の緻密な刺繍は、工業用ミシンと膨大な反復作業によって生み出されます。
本展出品作のシリーズ〈GlitterPieces〉(2008年―)は、印刷メディアから切り抜いたイメージをメタリック糸と黒糸だけで刺繍するものです。
アーツ・アンド・クラフツ運動の創始者ウィリアム・モリスの思想を参照し、産業革命時代の労働のシンボルであったミシンを使って現代の環境やテクノロジーを表現する青山の作品は、資本主義に支配された私たちの労働と社会のあり方に問いを投げかけています。


加藤 翼  1984年埼玉県生まれ/埼玉県在住

加藤は「引き倒し」と呼ばれるプロジェクトを一貫して行っています。
これは屋外に設置された巨大な木製の構造物を、ロープを使い大勢で引っ張り、引き起こし、倒すものです。その目的は、他者との協働作業により、彼らとこの瞬間の衝撃を共有し、コミュニケーションを持つことです。人間関係や地域・社会への繋がりが希薄になっていると危惧される現代における、真のコミュニケーションについて問いかけます。本展では、過去の「引き倒し」に使用された、作家の自宅やアパートの1/2.5 モデルの構造体を展示します。


HITOTZUKI  1999年共同制作開始/東京を拠点に活動中

壁画制作を中心に、日本におけるストリート・アートの可能性を拡張するKamiとSasuによるユニット。「日と月」というユニット名には、男と女、陰と陽、+(プラス)と−(マイナス)など、相反する二つの要素が融合し、一つの調和した世界を創り出すという意味が込められています。本作は壁面へのペインティングにストリート・カルチャーの一部であるスケートボードのセクションを取り・・黶A理想の空間を青色で表現した作品です。会期中にはスケーターでもあるKamiと交流のあるスケートボーダーによるライヴ・セッションも実施され、万人の頭上に存在する「天空」の意である《The Firmament》というタイトルのもと、自由な想像を創造する場として芸術への可能性を提案します。


【MAMCメンバーイベントのリポート掲載について】
MAMCでは、より多くの皆様にメンバーイベントの様子を知っていただくために、後日ウェブサイトにリポート掲載をしております。会場内で撮影した風景画像も掲載させていただきますが、中には参加者の様子が写っているものが含まれる可能性がございます。イベントご参加の際には、この点について予めご了承いただきますようお願い申し上げます。
なお、掲載された画像についてご本人より削除の希望があった場合には、すみやかに対応させていただきます。

加藤 翼
《H.H.H.H.(ホーム・ホテルズ・ハルニャン・ハウス)》
2008年
ラワンベニヤ、OSB、赤松垂木、SPF、虎ロープ
パフォーマンス風景:上野恩賜公園、東京

「医学と芸術展」MAMCナイトの様子(2009.1.29)


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