森 万里子《エキピロティック ストリング II》
2014年
この作品は、円環の形をしたメタリックに光る彫刻で、その面と稜は三次元のメビウスの輪ともいえる形状で、均衡がとれているようですが非対称でもあります。宇宙の構造については多くの理論が生み出されてきましたが、本作はその中の超弦理論(ちょうげんりろん)からインスピレーションを得たものです。
近年の「循環型宇宙」モデルでは、ビックバンの前にブレーン(膜)が存在し、ふたつのブレーンのぶつかり合いで宇宙が生まれたとされています。宇宙の誕生は、ブレーンがぶつかり合うことで常に繰り返されているというものです。森万里子は、「こうした宇宙論は、仏教の輪廻転生に通じるものがあり、宇宙エネルギーに死がないことを暗示している」と語っています。
彼女はこれまでも多数のメビウスの輪の形状をした作品をつくっており、本作はその代表的な作品のひとつです。
森 万里子《エキピロティック ストリング II》
2014年/ファイバーグラス、塗料/101×200×46.2cm/作家蔵
Courtesy: Sean Kelly, New York and SCAI THE BATHHOUSE, Tokyo
撮影:Jason Wyche
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