森美術館は、10月18日、開館10周年を迎えました。
2003年、「文化都心」六本木ヒルズの象徴として、六本木ヒルズ森タワー最上層53階に、国際的な現代美術館を目指し開館した森美術館は、「アート&ライフ」―現代アートをより身近なものに―をモットーに掲げ、さまざまな活動に取り組んできました。その10年の軌跡をご紹介します。
「六本木クロッシング2013展：アウト・オブ・ダウト―来たるべき風景のために」展示風景
撮影：渡邉 修
独自の企画展―40の企画展、うち6展は国際巡回へ
コレクションをもたない美術館としてスタートした森美術館は、「国際性」と「現代性」を理念とし、独自の視点で企画した展覧会を開催してきました。その内容は、日本のアートシーンの最新動向を3年に一度紹介する「六本木クロッシング」シリーズ、草間彌生、アイ･ウェイウェイ、会田誠など国内外の重要なアーティストの活動を紹介する大規模個展、「ハピネス」展、「医学と芸術展」、「LOVE展」など、特定の主題のもとに古今東西の多様な作品を紹介するテーマ展、アフリカ、インド、アラブなど特定の国や地域の現代美術を紹介する地域展、「ル･コルビュジエ展」、「メタボリズムの未来都市展」などの建築やファッションの展覧会など多彩なラインアップで構成されています。その数は、現在開催中の「六本木クロッシング2013展」を含め40本に上ります。
なかでも、6本の企画展は国際巡回を果たしました。現在、「アイ･ウェイウェイ展」が北米5都市に、「メタボリズムの未来都市展」が、台湾に巡回しています。
「メタボリズムの未来都市展：戦後日本・今甦る復興の夢とビジョン」展示風景
撮影：渡邉 修
また、メインの企画展と並行し、世界各国の才能豊かな若手アーティストを支援する小規模な展覧会シリーズ、「MAMプロジェクト」を2004年1月より実施してきました。10年間でシリーズは19回を数え、プロジェクトの柱である新作コミッションからは、数々の秀作が生まれました。
「MAMプロジェクト019：エムレ・ヒュネル」展示風景
撮影：森田兼次
平日夜の開館、バイリンガルによるサービス―森美術館のならではの革新的な取り組み
森美術館は従来の日本の美術館にないサービスにも取り組んできました。
たとえば、開館当初より火曜日を除き、夜22時まで開館しています。これにより、オフィスワーカーが平日でも美術館に来館することが可能となりました。
また、外国人に開かれた美術館をめざし、展示室内の作品キャプションや解説、音声ガイド、チラシ、ウェブサイトを、開館以来、日英バイリンガルで提供しています。展覧会によっては、個別の言語に応じたチラシや音声ガイドを制作し、外国人来館者へのよりきめ細かいサービスの充実を図っています。
あわせて、美術館と52Fの展望台を共通チケットにすることにより、現代アートに馴染みのない人でも気軽に鑑賞できる仕組みを整え、この10年間で、国内外から1,200万人を超える来館者を迎えています。
さらに、クリエイティブ・コモンズの枠組みを採用し、来館者による館内写真撮影を可能な限り許可をするなど、鑑賞者にさらなる楽しみを提案しています。
そのほかにも、美術館に行かずとも街のなかで気軽にアートに触れられるよう、六本木ヒルズの随所にあるパブリックアートやストリートファニチャーの設置を行なったり、国立新美術館、サントリー美術館とともに「六本木アート･トライアングル」を結成して連携事業を行ない、その活動が「六本木アートナイト」に発展する、などさまざまな企画を実現してきました。
「LOVE展：アートにみる愛のかたち―シャガールから草間彌生、初音ミクまで」展示風景
ジャン＝ミシェル・オトニエル《Kin no Kokoro》2013年
Courtesy: Galerie Perrotin, Hong Kong and Paris
展示場所：六本木ヒルズ毛利庭園
撮影：木奥恵三
さらに開かれた美術館を目指して
森美術館は、これからも世界に開かれた美術館として、またアジアのアートシーンの重要な拠点としての自負をもって、世界の先鋭的なアートを独自の視座で紹介していくとともに、生活の中でアートを楽しむ豊かな社会の実現に向けて、さまざまな取り組みに挑戦してまいります。
＜関連リンク＞
森美術館 展覧会一覧
http://www.mori.art.museum/jp/exhibition/index.html
森美術館について
http://www.mori.art.museum/jp/outline/index.html
森美術館ミッション・ステイトメント
http://www.mori.art.museum/jp/outline/mission.html
現在開催中の展覧会
・
森美術館10周年記念展
「六本木クロッシング2013展：アウト・オブ・ダウト―来たるべき風景のために」
2013年9月21日（土）－2014年1月13日（月）
・「MAMプロジェクト019：エムレ・ヒュネル」
2013年9月21日（土）－2014年1月13日（月）
