2013年3月29日(金)

宇野常寛氏と津田大介氏がサブカルチャーに迫る!
「美術の時間に教わらなかったアート入門」最終回

「会田誠展:天才でごめんなさい」にちなんで企画された六本木アートカレッジセミナーのアート入門シリーズ。その最終回は、評論家の宇野常寛氏とジャーナリストの津田大介氏によるサブカルチャー講座でした。前回に引き続き、アカデミーヒルズ・スタッフによるレポートを、森美術館ブログ読者の皆様にお届けします。


スピーカー:宇野常寛氏(評論家)

シリーズ第3回は、「サブカルチャーからみる現代アート」をテーマに、著書『ゼロ年代の想像力』(2008/早川書房)や『リトルピープルの時代』(2011/幻冬舎)で、アニメ、漫画、ドラマ、携帯小説など1990年代からのサブカルチャーを独自の視点で論じた評論家の宇野常寛氏、そしてソーシャルメディアを利用した新しいジャーナリズムをさまざまな形で実践している津田大介氏を講師にお迎えしました。

日本特有である"サブカルチャー=オタク文化"とは何なのか?
冒頭の宇野氏の講義では、戦後の日本の"未成熟さ"の象徴として語られるオタク文化論に対して、90年代以降のインターネットによる爆発的な変化についてお話しいただきました。

インターネットが一般的に普及する以前、アニメやマンガは、コミックマーケットなどの場所で、パロディマンガなどファンによる"2次創作"が盛んに行われていたそう。限られた場所、人たちによってオタク文化は作られていました。

それがインターネットの普及により、多くの人による"2次創作"が可能になり、オタク文化を爆発させました。ニコニコ動画などの動画共有サービスから、爆発的に広がった音声合成技術「ボーカロイド)」である「初音ミク」は、インターネットを通じて2次創作"され、瞬く間に世界中に広がっています。日本的なキャラクターはこのような"2次創作"のコミュニティによる過剰なコミュニケーションの中で発展していると宇野氏はいいます。


左)宇野氏 右)津田大介氏

そして、後半はジャーナリストの津田大介氏を交え対談がスタート。現代アートとサブカルチャーの関係性について話が進みます。現代アートが描く"オタク文化"は、キャプションであり市場にあるそのものが与えるインパクトを超えていないと宇野氏は主張。現代アートと社会の関係について考えされられる問題提起でした。

今回は、サブカルチャーから現代アートをみることによって、様々な日本文化の課題も浮き彫りとなりました。強烈に引かれるもの・・・そういったものこそが文化として次世代に継承されていくのだと感じる90分となりました。
 

春の1DAYカレッジ「六本木アートカレッジ SPRING2013」のご案内:
毎回、多様なジャンルのオピニオンリーダーが登壇し、多彩なプログラムが人気の「六本木アートカレッジ」。春の1DAYカレッジとして開催する今回は、「LOVE」をテーマにみうらじゅん(イラストレーター)、丸山敬太(デザイナー)、鶴田真由(女優)など多彩なゲストが登場!森美術館で開催する「LOVE展」とも連動したプログラムも。アートあふれる春の六本木を是非お楽しみください。

開催日 : 2013年4月29日(月・祝)13:00~18:30(受付開始 12:00)
会場 : アカデミーヒルズ(六本木ヒルズ森タワー49F)
参加費 : 4,000円(税込み)
 ※森美術館「LOVE:アートにみる愛のかたち」展チケット付き
定員 : 800名
主催 : アカデミーヒルズ
協力 : 森美術館

詳細・お申し込み: こちら
 

<関連リンク>

アートのつぼをおさえよう!「美術の時間に教わらなかったアート入門」
鈴木芳雄さんが指南する日本美術の見方

「美術の時間に教わらなかったアート入門」連載第2回
『美術手帖』の『美術手帖』の岩渕貞哉さんに学ぶ近現代アート

「会田誠展:天才でごめんなさい」
2012年11月17日(土)-2013年3月31日(日)

六本木アートカレッジ

カテゴリー:03.活動レポート
森美術館公式ブログは、森美術館公式ウェブサイトの利用条件に準じます。