2012年3月28日(水)

誇り高きエルメスのスピリットに触れた一夜
「映画『ハート&クラフト』鑑賞会+エルメス・ミュージアム訪問」

銀座の街に小雪が舞った2月16日(木)の夜。MAMC法人メンバーのエルメスジャポン株式会社によって、MAMC個人メンバー限定の特別イベント「映画『ハート&クラフト』鑑賞会+エルメス・ミュージアム訪問」が開催されました。


© Nacása & Partners Inc.

「ハート&クラフト」は、エルメスの職人達の姿を追ったドキュメンタリー映画で、2011年の一般公開時にはあまりの人気で予約が取れない人が続出したという話題作です。抽選で選ばれたメンバーだけでメゾンエルメスのミニシアターを貸し切り、素晴らしい映像をゆったりと観賞するのは、まさに贅沢の極み。

今回はこの特別な1夜の様子をレポートします。


エルメス製作映画 『ハート&クラフト』
監督:フレデリック・ラフォン&イザベル・デュピュイ=シャヴァナ
2011/フランス/カラー/ビデオ/42分
Hearts and Crafts by Frédéric Laffont and Isabelle Dupuy-Chavanat.

馬具工房として誕生したエルメスのクリエーションを支える「職人(アルチザン)の仕事」。アトリエの職人を訪ねて回るこのドキュメンタリーフィルムからはそれぞれの職人達の姿や言葉と共に、彼らの仕事に対する尽きせぬ情熱と誇りが溢れ出てくるようでした。メンバー達はあまりに強く清らかな彼らの存在感を、目と心で受け止め深く納得したに違いありません。


メゾンエルメスのミニシアターにて。上映の前に作品の説明を聞くメンバー一同。

映画鑑賞の後は、エルメス・ミュージアムでのギャラリートークです。エルメスジャポン株式会社 アート・文化活動担当の説田さんが、貴重なエルメスのコレクションやアーカイブを、その歴史を紐解きながら愉しく解説してくださいました。

まず、メンバーの目を捉えたのは、貴婦人がドレス姿で馬に横乗り(この乗り方を「アマゾン・スタイル」と言うそうです。)するために作られた美しい「鞍」。この鞍にまつわるエピソードを中心に、エルメスの歴史を語る時に欠かせない「馬と人を巡るストーリー」や、当時のパリの人々の暮らしぶりなどが紹介されると、メンバーのイマジネーションは大きく広がっていきました。


エルメスの歴史を象徴する貴婦人用の鞍。

展示の中に、華奢な装飾が施された小さな手帳がありました。キャプションには「舞踏会手帳」と書かれています。これは、「仕事や予定をもたないことがエレガンス」とされていた当時の貴婦人達が、唯一持つことの許された予定として、舞踏会で踊った相手の名前を書き留めていた手帳。装飾品として身につけられるように作られた手帳の優雅さに、メンバー(特に女性)の目は釘付けになりました。

ギャラリーの後半には、誰もが知っているエルメスのバッグのミニチュアが展示されていました。これは、定年などで工房を後にする職人が"自身が担当したバッグのミニチュアを作り、エルメスへの感謝と共に工房に残す"という伝統に由来する品々で、今も職人達の歴史として数多く保管されているそうです。こうしたエピソードのひとつひとつが映画で観た職人達の姿とリンクし、感動は更に膨らんでいきました。ギャラリーに展示されている作品は、間もなくフランスへ返却される予定だそう。今回の観賞会は本当に貴重な体験でした。


ガラスのブロックに嵌め込まれるように展示された、繊細なエルメス作品のアーカイブの数々。

店舗を「私達の家」と呼び、スタッフを「家族」として考えるエルメスの温かさ。そして職人との信頼関係や、製品への自信と誇り。エルメスがこれからも変わらずに守り続けるメゾンのスピリットを、ひしひしと感じることができた2時間でした。
 

【お知らせ】
メゾンエルメス8Fのフォーラムでは、5月13日(日)まで「望郷―TOKIORE(I)MIX」山口 晃展を開催中です。こちらはどなたでもご覧いただけます。銀座へお出掛けの際には、「アートとは本来、私たちの生活の中にあり、共に生き続けるもの。」というエルメスのフィロソフィーを感じてみてはいかがですか?
開館時間:11:00~20:00(月~土曜)、11:00~19:00(日曜) ※最終入場はいずれも閉館30分前 / 無休 / 入場無料
 

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