2011年2月、当館で大好評のうちに閉幕した「小谷元彦展:幽体の知覚」。静岡県立美術館の展示空間に合わせ、再構成された本展は7月10日(日)まで開催中です。新作インスタレーションや静岡県立美術館ならではの絶妙な展示方法など、森美術館の展示とはまた一味違った、静岡県立美術館での展示の様子を紹介します。
《Terminal Documents》
2011
ヴィデオ・インスタレーション:1画面ヴィデオ・プロジェクション、6.1chサラウンド・サウンド、2面同期モニタ、ステレオサウンド×2、水、プール、モニタ、スピーカ、他
11分00秒(ループ)|11 min.00 sec. (loop)
作家蔵
サウンド:高嶋啓
撮影:木奥恵三
写真提供:静岡県立美術館
《Terminal Documents》
2011
Video installation: 1-channel video projection, 6.1ch surround sound, 2-channel synchronized monitor, Stereo sound×2, Water pool, Monitor, Speaker and other media Collection of the artist
Sound: Takashima Kei
Photo: Kioku Keizo
Photo courtesy: Shizuoka Prefectural Museum of Art
新作である《Terminal Documents》は、水を張った円形の容器に、赤と白の渦の映像が交互に映し出されるインスタレーションです。壁の二つのモニターには、書物を朗読する少女の姿が映し出されています。生と死のぎりぎりの境界を表すかのような、緊張感をもった鮮烈なイメージは、見る人の感覚を揺さぶります。
静岡県立美術館「小谷元彦展:幽体の知覚」展示風景
撮影:木奥恵三
写真提供:静岡県立美術館
Shizuoka Prefectural Museum of Art "Odani Motohiko: Phantom Limb"
Photo: Kioku Keizo
Photo Courtesy: Shizuoka Prefectural Museum of Art
さらに、静岡県立美術館が誇るロダン館の《地獄の門》の前には、《SP4: ザ・スペクター-全ての人の脳内で徘徊するもの》が設置されています。小谷元彦による亡霊のような武者と馬の姿には、ロダンを父とする近代彫刻を受容した、日本の彫刻の屈折した精神が投影されています。
ロダンに挑みかかるように対峙する騎馬像からは、時空を超えたドラマが感じられます。この美術館だからこそ実現した絶妙な展示といえるでしょう。
本展は、7月10日(日)まで開催です。ぜひ足をお運びください。
<関連リンク>
・「小谷元彦展:幽体の知覚」
静岡県立美術館
会期:2011年5月28日(土)~7月10日(日)