右:草間彌生 《真夜中に咲く花》©Yayoi Kusama, Yayoi Kusama
Studio Inc.Courtesy of Gagosian Gallery / Ota Fine Arts
今年、森美術館メンバーシップ・プログラムMAMCでは、「あいちトリエンナーレ2010特別鑑賞ツアー」を企画しています。2006年と2008年の2度に渡ってシンガポールビエンナーレ芸術監督を務めた、森美術館館長の南條が率いるこのツアーは、作品鑑賞はもとより、街を巻き込んで行う大規模国際展の側面なども語り合いながら、丸1日どっぷりアート漬けになって過ごそう!という企画です。
その「あいちトリエンナーレ2010」の記者発表が7月14日(水)に四谷の国際交流基金さくらホールで行われ、いよいよ全容が明らかになりました。もちろん、今回の鑑賞ツアーの企画担当者も情報収集のために参加してきました。
今回のトリエンナーレの発表を通して、最も特徴的だと感じたのは、ビジュアル・アーツとパフォーミング・アーツの垣根を感じることなく鑑賞できる作品が多く公開されるということ。芸術監督の建畠晢氏が、「複合性」という言葉を何度も使って、ビジュアルとパフォーマンスの境界領域に位置する実験的表現について言及していたのが印象的でした。
デルガド・フッシュ 《Manteau long en laine marine porté sur un pull à encolure dé tendue avec
un pantalon peau de pêche et des chaussures pointues en nubuck rouge》
撮影:Sophie Ballmer
実験的表現という点では、例えば、パフォーマンス・デュオ"デルガド・フッシュ"の「桃色のズボンと赤いヌバックの先のとがったハイヒールをはいて、襟ぐりが緩んだセーターの上に着た空色のウールのロングコート」(日本初演)という、長くてユニークなタイトルの公演があります。彼らの鍛えられた強靭な肉体から生み出されるダンスとエスプリの効いた振付は必見です。まさに、ビジュアルとパフォーマンスの境界領域を目の当りにすることになるでしょう。こちらの公演は、9月3日(金)19:00から、9月4日(土)は14:00からと19:30からの2回行われます。今回の鑑賞ツアーは9月4日(土)に日帰りで行われますが、興味がある方は、時間を調整してご覧になってはいかがでしょうか?
小金沢健人 《速度の落書き》2008
神奈川県民ホールギャラリー「あれとこれとのあいだ」展での展示 撮影:佐藤美咲
また、ツアーで鑑賞する作品の中には、これまで森美術館の展覧会で紹介した作家の最新作が多く登場します。記憶に新しいところでは、「六本木クロッシング2010展」で多くの鑑賞者に感銘を与えた志賀理江子、小金沢健人、「万華鏡の視覚展」では蛍光灯を用いた作品でギャラリーに光の洪水を作りだしたケリス・ウィン・エヴァンス、「MAMプロジェクト」でご紹介した西野達、小泉明郎、など・・・。
さらに、出展リストを見渡すと草間弥生、蔡國強、ヤン・フードン、今年のベネツィア映画祭でパルム・ドールを受賞したアピチャッポン・ウィーラセタクンといった錚々(そうそう)たる名前が並び、一層期待は高まります。
あいちトリエンナーレ実行委員会事務局長の大野明彦氏からは「このトリエンナーレは、国内で行われる最大規模の国際展になるだろう」というコメントがありました。今回の130組以上にものぼる出展者ラインアップを見ればそれは一目瞭然です。
アピチャッポン・ウィーラセタクン 《世紀の光》2006
約1時間半に渡って行われた記者発表で、芸術監督、キュレーター、実行委員会の皆さんの熱い思いに触れ、MAMCメンバーの皆さんと一緒に現地を訪問するのがますます楽しみになってきました。まさに「都市の祝祭 Arts and Cities」というテーマに相応しい国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2010」。美術館や劇場という「枠」を飛び出して、街に溢れ出したたくさんのアートと出会えそうです。
MAMCの鑑賞ツアーに興味をお持ちで、まだメンバーになっていない方は、この機会にご入会ください。この秋、名古屋でしか味わうことのできないスリリングな祝祭に、是非私達と出かけましょう!
森美術館メンバーシップ・プログラム 襟川 文恵
<関連リンク>
・森美術館メンバーイベント
「南條館長と行く『あいちトリエンナーレ2010』鑑賞日帰りツアー」
・森美術館メンバーシップ・プログラムMAMC
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