ビル・ヴィオラ氏ご逝去に寄せて
2024.7.26(金)
ビデオ・アートの先駆者であるビル・ヴィオラ氏(1951〜2024年)が7月12日、米国カリフォルニア州ロングビーチのご自宅で逝去されました。心より哀悼の意を表します。
1970年代のビデオ・アート創世記からビデオ作品を制作し、1976年に初来日。1980〜81年には日本に長期滞在し、日本の伝統文化や当時の最新テクノロジーを学びました。森美術館で2006年に開催した大規模な個展「ビル・ヴィオラ:はつゆめ」では、初期の実験的なビデオ作品から最新技術を駆使した大スケールのプロジェクション、液晶モニターによる絵画的な映像まで、その全貌を紹介しました。ヴィオラ氏は禅をはじめとする日本文化や思想にも深い造詣があり、宇宙を司る普遍性や人類の生命や根源的な感情に向けられた敬意は、彼の作品に通底するものでした。
長年にわたり映像表現の可能性を拡張してきた故人の功績に、あらためて心からの敬意を表します。
2024年7月
森美術館
館長
片岡真実
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