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Chim↑Pomをゲストに、「カタストロフと美術のちから展」MAMCナイトを開催しました!

2019.1.21(月)

2018年12月18日(火)、森美術館メンバーシップ・プログラム MAMCのメンバーシップイベントとして、「カタストロフと美術のちから展」におけるMAMCナイトを開催しました。

森美術館15周年記念展であるこの展覧会は、カタストロフ(大惨事)を、現代美術のアーティストがどのように描き、また、そこから我々が立ち直れるとしたら、美術のちからはどのように働くのかを考察しています。 国内外40組のアーティストが参加をしていて、その内の約4分の1が東日本大震災に関連した作品です。まだ復興が進んでいない地域もある中で、さらなる復興を呼びかけ、議論を再燃することができればという、近藤の思いが込められています。

たくさんのMAMCメンバーが参加される中、本展担当キュレーター近藤によるギャラリーツアーからスタートしました。

ギャラリーツアーの様子。Chim↑Pomの作品《REAL TIMES》をみるMAMCメンバー。
ギャラリーツアーの様子。Chim↑Pomの作品《REAL TIMES》をみるMAMCメンバー。

ギャラリーツアーの後は、本展出展作家でもあるChim↑Pomのリーダー卯城竜太さんと、緊張するので普段滅多にトークイベントに出ることがないという岡田将孝さんをゲストに迎え、トークイベントを行いました。

Chim↑Pom卯城さん(左)と岡田さん(右)。
Chim↑Pom卯城さん(左)と岡田さん(右)。

「カタストロフと美術のちから展」で展示されている《REAL TIMES》を撮影したおふたりが、当時の状況と想いをお話くださいました。

この作品を撮ったのは、福島第一原子力発電所の、建屋で爆発事故が起きた1カ月後くらいでした。自己責任で行くことができるギリギリの時期だったということもあり、下見1回のみで、撮影に臨まれたそうです。

何の情報もなく、放射能という見えない恐怖の中での撮影で、「俺が一番びびっていたと思う」と卯城さん。終始撮影の様子をおもしろくお話しをされるので、思わず笑ってしまうのですが、当時は笑える状況ではなかったことがひしひしと伝わってきました。

「いつもChim↑Pomで撮影をするときは、楽し気なのだけれど、この時ばかりは、誰も一言もしゃべらなかった」とのことで、映像に映る2人は防護服を着ていますが、卯城さんと岡田さんはとても防護服とはよべない簡素な身繕い(ゴーグルとレインコートとマスクを何枚か重ねただけ)で撮影を行ったそうです。どうしてそこまでして? と疑問を抱いたMAMCメンバーの方もいらしたかもしれませんが、それが彼らによる表現方法で、ただの興味本位や冷やかしで行っていることではなかったことが感じられました。

トークイベントの様子。
トークイベントの様子。

いくつかのプロジェクトを同時進行で行っているChim↑Pomですが、福島では、彼らが発案した実行委員会形式の「Don’t Follow the Wind」展を開催中です。

この展覧会は、2015年から帰還困難区域内にて開催をしている国際展で、Chim↑Pomを始め、国内外12組のアーティストが作品を展示しています。近藤も補足をしていましたが、正式な手続きを踏んで開催がされており、実際に避難を余儀なくされている住民との話し合いのもと、民家や倉庫を展示会場として借りた上で作品が展示されています。もちろん、帰還困難区域の指定解除がされるまでは、一般的には誰も観に行くことができない展覧会です。

展示されている作品のひとつ、「カタストロフと美術のちから展」にも出展しているアイ・ウェイウェイの《希望の光》の言及がありました。
帰還困難区域内の誰も住んでいない一軒の家にあかりが灯るという、温かくも切ない作品です。ソーラーパネルが設置され、その蓄電されたエネルギーで、家の中の電球に、毎日、夜中と朝方の2回あかりを灯すようにタイマーがセットされています。夜中は立ち入ることができない場所なので、自分たちも含めて、誰もみることができていなかった作品だったそうです。約1年後、家の前にタイマー形式でカメラを設置し撮影を行い、翌日そのデータを確認し、実際にあかりが灯っているのを目にしたときは感動したと、トーク中にその写真も見せてくださいました。

それぞれの作品のメンテナンスは定期的に行っているそうで、岡田さんはこのトークイベントが行われた前の週にも福島に行かれたばかり。当時とはだいぶ状況が変化してきたとお話をされていました。

Chim↑Pomは、現在天王洲に新しくオープンしたギャラリー「ANOMALY」にて個展「グランド・オープン」を開催中です。ぜひご覧ください。1月26日(土)まで。入場無料です!

「カタストロフと美術のちから展」タイトルウォールの前で記念撮影。左から近藤健一(森美術館キュレーター)、卯城竜太さん(Chim↑Pom)、岡田将孝さん(Chim↑Pom)。
「カタストロフと美術のちから展」タイトルウォールの前で記念撮影。左から近藤健一(森美術館キュレーター)、卯城竜太さん(Chim↑Pom)、岡田将孝さん(Chim↑Pom)。

文:今村亜希子(森美術館マーケティンググループ)
撮影:田山達之

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