「カタストロフと美術のちから展」作品紹介#1 トーマス・ヒルシュホーン《崩落》
2018.10.26(金)
トーマス・ヒルシュホーン(1957年スイス、ベルン生まれ、パリ在住)
《崩落》
二階建ての建物の前面の壁が崩れ落ち、それまで隠されていた内部が見える本作は、破壊をテーマにした本展のための新作です。瓦礫を注視すると、ダンボールなどの素材で作られていることがわかります。それにより、リアリティといった言葉では捉えることのできない作品の抽象性が浮かび上がります。また、作品における破壊が戦争によるものか、自然災害によるものかは明示されず、特定の時間や場所から解放されることで、瓦礫を普遍的なものとして捉えることができます。部屋の中には様々な引用が書かれたバナーが掲げられていますが、「すべての創造は破壊から始まる」とあるように、作家にとって破壊は創造と不可分なのです。
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