アージェント・トーク017:
吉竹美香 なぜ、いま「もの派」なのか?
日本語のみ
いま、日本の1960年代末に見られた彫刻の動向「もの派」が米国を中心に改めて注目を浴びています。「アージェント・トーク017」では、もの派の研究者である吉竹美香氏を迎えて、過去40年間にわたるもの派の歴史的枠組と需要を日本国内と海外の双方から検証します。
具体的には、吉竹氏が2012年に企画した「太陽へのレクイエム:もの派の芸術」展を基点に、ムーブメントとしてのもの派の展開をアーティストと批評家双方による考え方と理論から再訪しつつ、それらが単なるイメージ論から米国におけるパラレルな美術の実践とは異なる現象論へと移行していった理論変換のダイナミズムを巡ります。さらに、もの派が当初海外で受け入れられた文脈と、今日再び、米国における日本の戦後美術に関する「東京1955-1970:新しい前衛」(ニューヨーク近代美術館、2012年)や「具体:輝かしい遊び場」(グッゲンハイム美術館、ニューヨーク、2013年)などの展覧会を通して脚光を浴びている状況との相違について論じます。そして最後には、もの派の作品が持つ一過性という特性をふまえて、美術館の作品収蔵、再制作や再展示の可能性、国際的なアートマーケットにおける総合的な芸術的価値へのインパクトについても触れていきます。
- 日時
- 2013年1月29日(火)19:00~20:30(受付開始 18:30)
- 出演
- 吉竹美香(ハーシュホーン美術館・彫刻庭園アシスタント・キュレーター)
- プロフィール
- 吉竹美香
ハーシュホーン美術館・彫刻庭園アシスタント・キュレーター。2012年春にUCLAの博士論文に基づいた「太陽へのレクイエム:もの派の芸術」展をロサンゼルスのBlum & Poeギャラリーで企画したほか、グッゲンハイム美術館での「李禹煥」展(2011年)、ロサンゼルス現代美術館の「村上隆」展(2007年)にも携わり、カタログに寄稿。また、「東京1955-1970:新しい前衛」(ニューヨーク近代美術館、2012年)、「ターゲット・プラクティス」(シアトル美術館、2009年)のカタログにも寄稿している。