アージェント・トーク024:
追悼 スチュアート・ホール:カルチュラル・スタディーズの創始者の遺産から、今、東京で考える
作品上映+トーク
日本語のみ
スチュアート・ホール(1932-2014年)は、ジャマイカ出身で英国を拠点に活動した、カルチュラル・スタディーズを代表する理論家の1人です。1960年には論考集『ニュー・レフト・レビュー』を共同で創刊し、1972年からバーミンガム大学現代文化研究センターの所長を務め、1979年からは英国版放送大学であるオープン・ユニヴァーシティの教授としてテレビ出演を続けるなど、アカデミズムとメディアの両方で活動しました。著作の主題は、現代政治、人種問題、文化的差異、アイデンティティ、多文化主義など多岐に渡りますが、美術や映画、音楽など、現代の視聴覚文化に関する批評・評論も多数残しました。特に英国におけるブラック・カルチャーの理論的支援にも大きな貢献を果たし、ブラック・アーティストに多大な影響を与えました。
今年2月に他界したホールですが、彼への追悼の意を込めて、今回は、ホールとも交流を持ち多文化主義や人種問題にも詳しいカルチュラル・スタディーズ研究者、神戸大学の小笠原博毅氏をゲストに迎え、ホールの思想やその影響について再考します。ホールの生涯を追ったドキュメンタリー映画やホールが評論した映像作家アイザック・ジュリアンの作品なども抜粋で上映し、理論構築だけでなく社会における実践を目指したホールの活動にも焦点を当てます。また、反中反韓感情の高まりやヘイト・スピーチの横行する今の東京で、彼の理論・実践を振り返った時に何が見えてくるのか、みなさんと一緒に考えたいと思います。
- 日時
- 2014年8月12日(火)19:00~21:00(受付開始 18:30)
- 出演
- 小笠原博毅(神戸大学大学院国際文化学研究科准教授)、近藤健一(森美術館キュレーター)
- プロフィール
- 小笠原博毅
神戸大学大学院国際文化学研究科准教授。1968年生まれ。ロンドン大学ゴールドスミス校社会学部博士課程修了。社会学博士。専門はカルチュラル・スタディーズ。主な研究テーマは人種と人種差別、メディア文化論、身体社会論。論文に「Stuart Hall and His Theoretical Legacy」(学会機関紙『年報カルチュラル・スタディーズ』2014年)、「いまだホールの教えに至らず」(『思想』岩波書店、2014年第5号)、編著に『黒い大西洋(ブラック・アトランティック)と知識人の現在』(松籟社、2009年)、訳書に『スチュアート・ホール』(ジェームス・プロクター著、青土社、2006年)など。