イー・イランは主に写真や映像を用いて、東南アジアにおける植民地支配の歴史や権力構造と、そうした歴史が現代社会に与える影響についての作品を制作してきた。2018年以降は、マレーシア・ボルネオ島のコミュニティにおける織物の織手たちと協働した作品を発表している。東南アジアでは伝統的に、床に織物を敷き、その上でさまざまな生活上の活動を行ってきた。イーにとって織物は、人々が集まり物語や知識を共有するための平等なプラットフォームであり、そこでの時間は地域内の複数のコミュニティ同士をつなぐ極めて親密な共通の経験であるという。2021年にはアジア・パシフィック・トリエンナーレ（ブリスベン）、2022年に国際芸術祭「あいち2022」など、多くのグループ展や国際展に参加している。