東西ドイツ統合の象徴としてベルリン観光のメッカとなった《ドイツ連邦議会新議事堂、ライヒスターク》、大英博物館中庭を現代的な美しいアトリウムへと変貌させた《グレートコート》など、最先端技術を駆使しながら、伝統的建造物の歴史的な背景や地域の環境に配慮し、再生する独自のアプローチとメソッドを紹介します。
《ドイツ連邦議会新議事堂、ライヒスターク》
1992-1999年 ベルリン、ドイツ
戦争で破壊された旧帝国議会議事堂のドームをガラスで再生。議場内にはドームに反射した自然光が降り注ぐ。議場上部空間を展望空間として市民に開放し政治の透明性を表す。展望空間からは、ベルリンの都市が望める。
サスティナブル建築としてのアップル新社屋《アップル・キャンパス2》、月面の砂を素材に3Dプリンターで制作する月面住宅など、近未来の都市と建築を予感させる革新的なプロジェクトを紹介します。
アップル新社屋《アップル・キャンパス2》
2016年竣工予定 カリフォルニア、米国
1930年代から地球規模の環境問題の提起と提案を行い、今なお建築家やアーティストに多大な影響を与えている工学者・思想家リチャード・バックミンスター・フラーとフォスター+パートナーズが、1971年からフラーが亡くなる1983年までの12年間協働したプロジェクトなどをフォスター建築の原点として紹介します。
《サミュエル・ベケット劇場》の打合せをするフォスター・アソシエイツのスタッフとリチャード・バックミンスター・フラー
右がノーマン・フォスター 1971年
建築模型、映像、CGなど膨大な作品群が、海抜 250 メートル、展望台 東京シティビュー内スカイギャラリーで展示されます。都市の眺望と融合した空間での、他にはない特別な鑑賞体験となるでしょう。フォスター+パートナーズがデザインした家具やプロダクトを配した、ラウンジでは、眼下に広がる東京の絶景を望みながら、映像を楽しむ贅沢な寛ぎのひとときをお過ごしいただけます。
《ウィリス・フェイバー・デュマス本社ビル》
1975年 イプスウィッチ、英国
初期の名作。周囲を映しこむ黒いガラスの外装で旧市街との調和を図った。自然光が降り注ぐアトリウムは、グリーンのカーペットで内部から屋上庭園へと連続している。英国の保護登録建築物の最上級で日本の国宝に相当するグレード1に指定されている。
ノーマン・フォスターらは、20世紀を代表する工学者・思想家のリチャード・バックミンスター・フラーと、活動初期の1971年からフラーが亡くなる1983年まで協働し、彼の思想に多大な影響を受けました。フラーは、地球を「宇宙船地球号」と呼び、サスティナビリティやエコロジーという概念がない時代に、いま、私たちが直面している地球規模の問題をいち早く指摘し、その解決に示唆を与えました。このセクションでは、フォスターとフラーの共同プロジェクトとその後のフォスター+パートナーズの原点となる初期の作品を展示します。
《セインズベリー視覚芸術センター》
1978年 ノーウィッチ、英国
現場を訪れたフラーがノーマンに尋ねた「君は自分の建物の重量を知っているかい?」は、2010年に公開されたノーマン・フォスターの映画の英文タイトルになった(邦題『フォスター卿の建築術』)。
エコロジー、サスティナブル、歴史、伝統、地域、国家といった各国が抱える課題に、最先端のデザインと技術で応えてきたフォスター+パートナーズの膨大なプロジェクトを厳選して展示します。検討モデルから完成モデル、映像、写真、スケッチなどを通して、建築が創造されてゆくダイナミズムをデザインプロセスとともに紹介します。
大英博物館《グレートコート》
2000年 ロンドン、英国
大英博物館の中庭を、その中心にある円形図書閲覧室(1857年竣工)を遺しつつ、上部をガラスの屋根で覆い、外光降り注ぐアトリウムとして再生。来館者を博物館の各展示室へと誘導する広大なエントランス空間として機能している。屋根を構成する3,312枚のガラスは一つとして同じ形はない。
フォスター+パートナーズの半世紀にわたる設計活動は、いま、新たな段階へと踏み出しています。ゼロエミッションを目指す巨大建築や都市、月面住宅など一見、空想的なプロジェクトの数々が、実現に向けて研究されています。このセクションでは、最先端技術に裏付けされた近未来の都市と建築の姿を提示します。
《マスダールシティ》
2007年- アブダビ、アラブ首長国
アブダビ郊外に建設中の100%再生エネルギー供給を目指す640ヘクタール(六本木ヒルズの約60倍)の実験都市。