N・S・ハルシャの作品を紹介してきた本連載も、最終回となりました。最後に紹介するのは現在、六本木ヒルズの玄関口66プラザで天空を指差している猿の彫刻作品《マタ―》です。
「N・S・ハルシャ展:チャーミングな旅」は6月11日(日)まで。ぜひ森美術館へお越しください。
《マター》
2014/2016年
ブロンズ
278.1×137.2×165.1 cm
展示風景:「N・S・ハルシャ展:チャーミングな旅」森美術館、2017年
撮影:椎木静寧
球体を片手に抱く猿が、遠く宇宙の彼方を指さしている彫刻作品《マタ―》。人間には長い間星空や宇宙を見つめてきた歴史がありますが、それは未来や未知の世界への好奇心、そして、そこへ到達しようとする人類の欲求の歴史ともいえるでしょう。英語の「Matter」は、物質やものごとを表す言葉ですが、正体不明のマターを猿は宇宙へ持っていこうとしているのでしょうか。モデルになっているのはハヌマンラングールと呼ばれる猿で、インドの民間信仰ではハヌマーン神として篤く信仰されています。
<関連リンク>
・N・S・ハルシャ展:チャーミングな旅
会期:2017年2月4日(土)-2017年6月11日(日)
・N・S・ハルシャと巡る“チャーミングな旅”作品紹介
(1)《私たちは来て、私たちは食べ、私たちは眠る》
(2)「チャーミングな国家」シリーズ
(3)《ここに演説をしに来て》
(4)《空を見つめる人びと》
(5)《ネイションズ(国家)》
(6)《レフトオーバーズ(残りもの)》
(7)《未来》
(8)《ふたたび生まれ、ふたたび死ぬ》
(9)《マタ―》