スケールの大きな作品が多いN・S・ハルシャの絵画ですが、描かれるのはキャンバスに留まらず、床や壁、公園の地面や寺院の屋上まで様々です。ブログ連載第4回では、そんな作品のひとつ《空を見つめる人びと》を紹介します。
《空を見つめる人びと》
2010/2017年
アクリル、合板
975.4×488 cm
展示風景:「N・S・ハルシャ展:チャーミングな旅」森美術館、2017年
撮影:椎木静寧
Courtesy: Victoria Miro, London
人類はさまざまな文明の発展のあらゆる段階で、いつも天を仰ぎ見てきました。N・S・ハルシャ自身も、学生時代は屋根の上に横になってしばしば夜空を見上げ、哲学的思索を深めていたといいます。
《空を見つめる人びと》は、2010年のリヴァプール・ビエンナーレのために制作されたインスタレーションで、床面はおびただしい数の人びとの顔で埋められています。彼らの眼差しはいずれも空とその先の宇宙へと向けられていて、観客がその方向を見上げてみると、自らもその群衆とともに天の星空の一部になるのです。はたして自分はどこにいて、世界はどこに向かっているのか。《空を見つめる人びと》は、そのような哲学的瞑想のために作られた作品です。
<関連リンク>
・N・S・ハルシャ展:チャーミングな旅
会期:2017年2月4日(土)-2017年6月11日(日)
・N・S・ハルシャと巡る“チャーミングな旅”作品紹介
(1)《私たちは来て、私たちは食べ、私たちは眠る》
(2)「チャーミングな国家」シリーズ
(3)《ここに演説をしに来て》
(4)《空を見つめる人びと》
(5)《ネイションズ(国家)》
(6)《レフトオーバーズ(残りもの)》
(7)《未来》
(8)《ふたたび生まれ、ふたたび死ぬ》
(9)《マタ―》